人間のココロや行動パターンは、読者のみなさん自身を振り返ると分かるように、合理的でも一貫しているわけでもありません。ただし、まったくのカオス(混沌)ではなく、前回紹介した文脈効果の例のように、一定の法則に従っているようです。

 行動経済学や心理学のこれまでの研究では、「どのような場合に合理的でなくなり、どんな法則に支配されるのか」について、様々な発見がなされています。

 今回はネズミやハトなど動物で見られるとても強い行動の法則のうち、人間にも当てはまることが近年のビッグデータ分析で分かった2つの法則を説明します。

ゲームやギャンブルにハマる変率強化の仕組み

 レバーを押すとエサが出る仕掛けを備えた箱にネズミを入れるとしましょう。レバーを押したらエサが出ることを学習すると、ネズミは進んでレバーを押すようになります。これをエサというご褒美によってレバー押しの行動が“強化”されると言います。

 ここで面白い現象が知られています。単純に「レバーを1回押すと必ずエサが出る」という“連続強化”と呼ばれるような状況では、レバーを押してもエサが出なくなると、当たり前のことですが、ネズミはすぐにレバーを押さなくなります。

 一方、「毎回ではなくたまにエサが出る」といった“間欠強化”と呼ばれる場合には、エサを出すことをやめてもネズミは長い間、レバーを押し続けます。間欠強化のなかでも、「数回のレバー押しのうち1回、ご褒美が出るものの何回に1回かは決まっていない。ただし5分の1などと確率は決まっている」といった、ご褒美の出し方を特に“変率強化”と呼びます。

 この変率強化の場合、ネズミはいつご褒美がもらえるか分かりません。ご褒美にあずかれる機会が少ないのにもかかわらず、ネズミのレバーを押す行動は強化されます。さらに面白いことに、ご褒美がまったく出なくなっても、なかなかネズミはレバー押しをやめられなくなってしまいます。

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