写真データが消失するコミュニケーションサービス「Snapchat」に対する関心が高まっている背景や展望を「写真が一定時間で消滅するSnapchat、若者たちに人気のワケ」で、2013年12月に考察した。そのSnapchatが台頭して以来、後を追って同種の機能を実装する既存サービスが急増し、トレンドを形成している。

 この現象は、コミュニケーションのプラットフォームがFacebookに一極集中しつつある状況に対するアンチテーゼとも解釈できる。社会的な問題に一定の解決策をもたらすための市場からの要請だったと捉えられる。

悪ふざけツイート炎上事件

 約1年前の2013年夏、日本では若者がコンビニエンスストアやファストフード店などで悪ふざけをした写真をTwitterにアップし炎上するという事件が相次いだ。この手の悪ふざけ自体は最近になって始まったことではない。同様のことをする若者はどの時代にも一定数は存在したと思われる。

 それが炎上するほどことが大きくなった背景には、TwitterやLINEといったウェブサービスによって、これまで表に出なった物理世界での言動がより公に露見するようになったことを指摘できる。表現の良し悪しはともかく、Twitterが「バカ発見器」と揶揄されている現状がそれを物語っている。

 この種の社会現象はインターネットリテラシーといった教育問題に帰結しがちだ。しかし多数の新しいウェブサービスが次々と誕生している中、必ずしも学校の「情報」や「倫理」といった授業だけで、刻々と変化する状況に対処できるわけではない。いくら「インターネットとは何か」を解説したところで、個別のウェブサービスの仕組みやポリシーまでは咀嚼し切れない。

 しかもあらゆる世代のユーザーが日常生活の中でリテラシーを養うことにも限界がある。こうした背景から、個別のウェブサービスを良くも悪くも気軽に利用し始め、結果的に不適切な行動に至ってしまうユーザーが一定数出てしまうのは不可抗力に近い。

 悪ふざけならそれを擁護できないが、ほとんどの人間は年齢相応にしか振る舞えない。未成年ならなおさらだ。

 筆者自身の経験からすれば、若者たちは友人たちとのやり取りを私的かつ刹那的に楽しみたいのであって、それを第三者に観察してもらいたいわけではない。しかし、ウェブサービスの性質上、やり取りの内容が好むと好まざるとにかかわらず、衆目の集まるインターネットの世界に放り込まれてしまっている。

未成年保護を目的とした「消しゴム」法

 炎上事件に限らないが、一度インターネット上にアップした情報は、後で消去したいと思ってもなかったことにするのは極めて難しい。「忘れられる権利」が法廷で認められても、当該情報がインターネット上から完全に消えるわけではない。

 ただし、部分的にだが米カリフォルニア州で、インターネット上のコンテンツの削除を「忘れられる権利」とは違った形で法制度化するという動きが顕在化している。具体的には、カリフォルニア州法第22581条の第8編「カリフォルニア州企業・職業法」第22.1章「デジタル世界におけるカリフォルニア州企業・職業法」に新たな条文が追加されることになった(図1、法案の原タイトルは“An act to add Chapter 22.1 (commencing with Section 22580) to Division 8 of the Business and Professions Code, relating to the Internet.”)。

図1●「消しゴム法」の成立
出典:California Legislative Information

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