「日本もベトナムも選択肢はそれほど多くはない」――。ベトナム最大のIT業界団体、ベトナム・ソフトウエア・アソシエーション(VINASA)の日本向けビジネス部会である、Vietnam-Japan IT Cooperation Club(VJC)会長のグエン・ドアン・フォン氏は指摘する。英語ではライバル国に分が悪いベトナムは、日本語人材を育成することで競合の少ない日本市場にチャンスを見出す。一方で日本にとっては、日本語での対応に積極的なベトナムくらいしかチャイナプラスワンの候補はないだろうとする。(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ)


Vietnam-Japan IT Cooperation Club(VJC)会長 グエン・ドアン・フォン氏
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日本からのオフショア受託の状況は。

 順調だ。2009年からの数年間は、リーマンショックの影響で落ち込んだ時期もある。日本からの発注も一時的に減った。だが、2011年頃から復帰している。

 日本は2020年の東京オリンピック、マイナンバー制度への対応、メガバンク関連のプロジェクトが出てきており、IT人材が調達できない状態。ベトナムへの問い合わせが増えている。今まで、日本の人材不足を補う役割は中国が果たしていたが、チャイナプラスワンの動きが進んでいると感じる。

 ベトナムのソフトウエア産業の規模は、2013年実績で約1300億円。ソフト産業に務める人材の数は、約8万8000人程度。統計的な数字はないがベトナムの大手IT企業の動向を見ると、日本向けと欧米向けの割合が半分ずつくらいだろう。

日本ではIT人材の不足が深刻だ。ベトナムでも影響は出ているか。

 来年をメドにスタートするプロジェクトは、相当数ベトナムに相談が来ている印象だ。来年4月に開始を目指すならば、ちょうど今ごろから人材確保の準備を進めなければならない。今は、そんな問い合わせばかりだ。

 そうした状況に対応しようとする動きがベトナム側でも始まっている。例えば、FPTグループは1万人のブリッジSEを育成することを宣言した。同社は、日本で東京オリンピックやマイナンバー制度に関わるIT人材ニーズがあることを知っている。

直近1年間で、ベトナムのIT産業に変化はあるか。

 ベトナムのIT企業も、人材が足りないという状況に陥り始めている。日本語ができるIT人材は特に不足している。この2、3年、日本でIT人材を採用できない煽りで、日系IT企業がどんどんベトナムに進出してきていることが原因だろう。

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