分析女子、シブヤに集う――。2016年10月24日、東京・渋谷のイベントスペースdots.で「データサイエンティスト女子部」と題したセミナーが開催された。テーマは「教えて!データサイエンティストの勉強法」。第一線で活躍する女性データサイエンティストから、効果的かつ効率的な、分析実務の学び方を聞こうと、約50人の受講者が集まった。

 データサイエンティスト女子部は、一般社団法人データサイエンティスト協会に所属する多根悦子氏(現・ブレインパッド アナリティクスサービス本部)と松永智子氏(日本IBMポートフォリオ・マーケティング)が立ち上げ、2016年8月に第1回セミナーを開催。今回は2回目となる。「データサイエンティスト協会も女性会員が1割程度いるが、大多数が男性なので気後れし、聞きたいことを聞けないことも多い。女性同士ならよりフランクに情報交換できるのではと思った」。多根氏は立ち上げの経緯をこう語る。

 「告知期間が1週間前後と短かく、告知手段もSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やクチコミだけだったが、満席になった」(多根氏)。どうやら「勉強法」というテーマが関心を集めたようだ。中国など外国籍の受講者も複数参加していた。

日本IBMの松永智子氏の司会でスタート。約50人が受講
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 ビッグデータの使い手であるデータサイエンティストには、専門的な統計分析手法、分析ツールやIT基盤の知識、ビジネスの知見など様々なスキルが必要とされている。とはいえ実際には全てを兼ね備えている人材は少ない。事務担当としてエクセルを日々使いこなしている女性社員が、「分析官」に抜てきされるといった例も実は少なくない。

 今回のセミナーでも「社長から急に『来月から分析部門を作るから担当して』と言われて、ワラにもすがる思いで駆け込みました」と話す受講者がいた。

リケジョvsド文系女子

 受講者注目のなか、スピーカーとしてステージに上ったのは2人のデータサイエンティスト女子。1人目は日本IBMの干場愛氏。コンサルタントとして製造業や金融業のプロジェクトに携わる。

日本IBMの干場愛氏。リケジョらしく、ロジカルで分かりやすく勉強法を解説
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 大学では社会工学を専攻し、統計やプログラミングを学んだリケジョ。IBM入社後は研修でデータマイニングの方法論やデータ分析プロセスを叩き込まれた。これまでに身に付けたスキルのなかから、「特に学ぶべきもの」を4つ抽出。「最も役に立ったのはデータマイニングの方法論『CRISP-DM』、次は担当業界の知識、その次がプログラミング」と明快に整理していく。

 データサイエンティストに必須と思われがちな、統計手法は4位。「基本的な数学知識は必須だが、ハイレベルに鍛え上げる必要はない」と説明した。「今Dlifeで放映されている海外ドラマ『ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル』は、数学の概念をたとえ話で分かりやすく説明しているので、お勧めです」との言葉を、多くの受講者がメモした。

 2人目のスピーカーはユナイテッドアローズの安藤彩子氏。デジタルマーケティング部CRMチームのリーダーとして、顧客ロイヤルティプログラムの刷新という大仕事に携わった。

ユナイテッドアローズの安藤彩子氏。分析アレルギーだった過去から今日までの経緯を語った
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 干場氏とは対照的な「ド文系」と自己紹介。前職の外資系アパレルでもCRMを担当し、外部の研究機関と組んだ購買行動分析プロジェクトに抜てきされた。その際、データマイニングのトレーニングを10回にわたって受けたが、「講義のある日はお昼も食べられないくらい」受講が苦痛だったと明かす。

 分析の面白さに目覚めたきっかけは、個人情報をマスキングした購買の生データを見たことだ。「ずっとCRMを担当していたが、生データを見たのは初めて。一つひとつのデータに購入時間やキャンペーンコード、値引き率などの情報がついていて面白い。購買行動を理解するには、客単価の平均だけ見てもダメで、中央値や最頻値を見る必要がある、という統計の基礎を初めて実感できた」と話す。

 転職し、現在は分析に基づく販促策の企画、実装に携わる安藤氏は、データサイエンティストに求められる能力として、「読むチカラ」を挙げた。「分析結果を読み込み、日本語でストーリーにしていく。そのためにはまずビジネスそのものに興味を持つことが不可欠」と語った。

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