2016年11月1〜5日の日程で、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が訪日している。スーチー氏は日本でもお馴染みで、民主化運動指導者だった2013年4月以来、新政権になってからは初めての訪問だ。ミャンマーの経済発展は著しいが、一方でまだ多くの国民が貧困生活を送っていると報じられている。そのミャンマーでのスマホ事情はどのようなものなのだろうか。実態に迫ってみたい。

急激にスマホが普及したミャンマー

 ミャンマーでは5年前まではスマートフォン(スマホ)どころか携帯電話すら持っている人がほとんどいなかった。通信事業者もMPTの1社のみで、一部の限られた層しか携帯電話を所有できなかった。それが現在、ヤンゴンのような大都市ではほとんどの人がスマホを所有している。軍事政権時代には携帯電話を所有できる人は限られていたため、ガラケー(フィーチャーフォン)がほとんど流通していないので、ミャンマー人にとっては「初めて持つモバイル端末がスマホ」である。今やほとんどの人がスマホを所有しており、スマホを使ってインターネットにアクセスしている。つまりミャンマーの人たちは「スマホネイティブ」なのだ。

スマホはミャンマー人にとって必需品である。ミャンマーでは電池容量の小さい廉価版のスマホが多いため、すぐに電池が切れてしまう。ヤンゴン駅には充電器があり、多くの人が乗車の前に充電している(写真は全て筆者撮影)
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僧侶もスマホを所有して、常にチェックしている。
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 スマホはミャンマーの人々の生活を一変させた。スマホの普及によって人々はFacebookやTwitterで世界中のニュースや情報を入手できるようになったし、自分の意見を発信できるようになった。また他の諸国と違ってショートメッセージ(SMS)よりも先にメッセージアプリが普及して、人々はコミュニケーションを楽しんでいる。仕事や日常生活においてスマホは欠かせないものとなっている。

 まずはミャンマーの携帯電話市場での競争導入までの経緯を見ておきたい。2010年11月に総選挙が行われ、2011年2月のテイン・セイン大統領の選出に続き、3月に新政権が国会で承認された。これにより、1988年以来の軍事政権から立法・行政・司法権のすべてが新体制に移譲された。いわゆる民政移管が行われた。

 これによって、従来軍事政権を非難して経済制裁をしていた欧米諸国は、ミャンマーが進めている政治・経済改革を評価するようになった。米国は2012年11月に宝石一部品目を除くミャンマー製品の禁輸措置を解除し、EUも2013年4月に武器禁輸措置を除く対ミャンマー経済制裁を解除した。このような欧米諸国のミャンマーへのポジティブな経済投資に伴って、多くの日本企業もミャンマーへ進出するようになった。

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