2017年9月28日、大阪・堺筋本町のコワーキングスペース「The DECK」にて、スマートフォン(スマホ)がもたらす未来を考えるシリーズイベント「Smartphone and Beyond」の最新回が開催された。2016年から続くこのイベントは毎回テーマを設定しているが、今回取り上げたのは「スマートフォンが変える衣食住」。衣食住関連のネットサービスを手がける3社からゲストスピーカーを招き、前半がスピーカーによるプレゼンテーション、後半が会場からの質問を交えたディスカッションの2部構成で行われた。

 主催者である日経BP総研イノベーションICT研究所の菊池隆裕氏が挨拶し、続いてモデレーターを務めたFilamentの角勝氏がゲストを紹介した。登壇したのは順にフィッティン代表取締役の本間佑史子氏(“衣”)、クックパッド国内事業開発部の住 朋享氏(“食”)、リノべる スマートハウス事業責任者の木村大介氏(“住”)である。

モデレーターを務めた角氏
(写真:小口 正貴、以下同じ)
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デジタルと親和性が高い2017年の暮らし

 先陣を切ったフィッティンは、男性のビジネスパーソンが多いITpro読者にとって身近なものではないだろう。なぜならオンラインによる女性用下着フィッティング・サービスだからだ。本間氏は「オンラインで簡単な4個の質問に答え、回答をもとにAI(人工知能)がお客様の体型を検知。その体型に合わせた最適なブラジャーを各下着メーカーの商品から選んでくれる」とサービスの内容を説明した。

フィッティンの本間氏
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 本間氏は大手女性用下着メーカー、トリンプの出身。かつて現場で女性のバストを幾度となく計測する中で、下着のフィッティングに関する悩みを発見した。「例えば汗をかいた夏場だと試着に抵抗がある。子連れの場合はフィッティングルームの外に子どもを置くわけにもいかない。最も大きいのがコンプレックスの問題。女性しかいない売り場でもフィッティング・ルームに入りにくいとの声は多い」(本間氏)。そしてサイズ感に関する“ズレ”も大きな壁だ。ワコールの調査では10人のうち7人がサイズを間違った下着を身に着け、同様に10人中8人が下着選びに失敗した経験があることが明らかになっている。

 必ず身に着けるものだけに、その市場はウエディング、靴、ホテルなどと並ぶ1兆円規模とも言われる。だが下着のEC化率は2%未満と低いままであり、ECで購入する層もなぜか東京、名古屋、大阪、福岡など大都市圏に偏っている。この現状を本間氏は「店がない地方の人たちは商圏内にある下着店から選ぶしかない。ブランド名だけで通用する時代は過ぎ、百貨店でも売れなくなってきている。これは下着業界が直面している課題でもある」と指摘する。

 そこで生まれたのが、人目を気にせず、場所にも時間にも制約されないフィッティンだ。下着のフィッティングに特化したAIエンジンの開発を行い、現在は960個もの提案パターンを備える。その計測イメージを、本間氏は次のように語った。

 「お客様がFカップ/アンダー65センチだったとすると、アンダーが細くてバストが大きいため、モデル体型の可能性が80%と推測できる。体型によって悩みの種類は異なることから、次にどういった悩みを持っているかを再度自分で考え直して質問してもらう。これを繰り返しながら本当の体型を推測していくアルゴリズムとなっている」(本間氏)

 このサービスを2013年から始め、2017年4月にはオーダーメード下着の販売を開始、同年9月には東京・日本橋に完全予約制の試着サロンをプレオープンした。リアルとの両輪体制の背景には、「若いサービスだからこそ、ニッチな部分をこまめに拾っていくことができる」(本間氏)との思いがある。家の中で納得の行くフィッティングができる環境を整備する――それが本間氏の目標でもある。この方法論は衣類や靴にも適用できるだけに、今後の伸びしろは非常に大きいと言えそうだ。

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