1999年に発売し、2006年に生産を終えたソニーの犬型ロボット「AIBO」。その魂が約10年の時を経て、自動運転タクシーに吹き込まれようとしている。AIBOの開発責任者を務めていた景山浩二氏が、自動運転ベンチャーのZMPにこのほど入社。技術統括フェローに就任し、ディー・エヌ・エー(DeNA)との共同事業である自動運転タクシーに、AIBO開発で培った様々な知見を惜しみなく投入することになったからだ。

 あたかも自ら感情を持つ動物のごとく振る舞うAIBOは当時、未来を先取りした人工知能として大いに話題を呼んだ。ただ事業としては成功せず、「早すぎて市場から退場させられた」(業界関係者)と惜しむ声もあった。ソニーが産み落とした人工知能が今、タクシーに姿を変え新しい生命体として現代に復活する。

リタイヤも考えたが…

写真1●谷口社長(左)と、自動運転技術統括フェローに就任した景山氏(右)
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 「景山さん、もっとおもしろいことがあるよ。あなたはリタイヤするにはまだ早すぎる」。ZMPの谷口恒社長はこう切り出し、ロボットタクシー構想に関して熱弁を振るった(写真1)。

 ソニー時代にセンサー技術などの研究開発者として従事し、AIBO開発プロジェクトでは立ち上げ当初から参画し技術統括部長を務めた景山氏。50代半ばを過ぎ、「次のチャレンジを探すか、それともリタイヤするか」と悩み、出した答えが会社員人生にひとまずの区切りをつけることだった。今春ソニーを退社したばかりだったが、谷口社長の話はあまりにも魅力的で、彼の技術者魂に再び火を付けるものだった(写真2)。

 谷口社長と景山氏が初めて会ったのは6月初め、共通の知人が開いた会合でのことだ。ただ「私たちは戦友のようなものだ」(景山氏)と語るように、面識はなかったものの互いにその存在には一目を置いていた。二人とも早い段階でロボットの将来性に目を付け、事業を立ち上げ悪戦苦闘している様子を横目で見ていた。意気投合するのにさして時間はかからなかった。

写真2●「エスティマハイブリッド」を基に開発したロボットタクシーの試作車
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