ホンダの研究開発を担う本田技術研究所(埼玉県和光市)。栃木県芳賀町にある同研究所の四輪R&Dセンターは、ホンダの四輪自動車の設計・開発を手掛ける中核拠点だ。

本田技術研究所四輪R&Dセンター(栃木)の外観。左上は2013年末に発売した「VEZEL(ヴェゼル)」
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 ここに蓄積されているデータはまさにビッグデータ。設計・開発に関する文書データだけでなく、メンテナンス関連データもここに集約。自動車修理の際に取得するクルマのログデータを集め、新商品開発などに生かす。

「マニュアルが不要なシステムを目指した」と話す中川京香主任研究員(上)。「ベテランから若手までの知恵のすべてを生かせるようになった」と話す矢崎崇成研究員

 「自動車の電子化が進んだことで、普段の業務で扱うデータの種類と量が急激に増えている」(本田技術研究所四輪R&Dセンターの中川京香TAC情報管理ブロック主任研究員)。例えばエンジンの動きを把握するエンジン制御データの場合、1日に2万~3万件を収集している。米国では2003年から、環境対策の一環で、自動車メーカーにエンジン制御データの収集を義務付け、その流れが世界にも広がっているためだ。自動車メーカーが収集・管理しなければならないデータは増加の一途をたどっている。

 大量データを素の状態で開放して、「上手に使ってください、分析してください」と呼びかけるだけでは、一般社員がデータを仕事に生かすことは難しい。組織全体でデータ活用力を高めるには、増大する大量データを整理整頓し、利用しやすくするような環境を整える必要があるだろう。

 この課題に、本田技術研究所四輪R&Dセンターは既に手を打っている。その武器が、エンジンやシャーシ、ステアリングなどの開発や、品質管理など様々な部門の担当者が利用するITシステムである。これを使えば、「技術文書データやセンサーデータなどの大量データから、自分の仕事に必要なデータを効率よく検索し、参照・分析できる」と中川主任研究員は話す。

 ITシステムは、複数のIT製品を組み合わせたもの。日本IBMのグループウエアソフト「Notes」や、スマートインサイト(東京・千代田)の情報共有ツール「SMART/InSight」、NTTデータ数理システム(東京・新宿)のテキストマイニングツール「Text Mining Studio」などを導入している。

四輪R&Dセンターで使われている情報共有システムの画面例。種類も数も膨大なデータから、共通項目を抽出して件数と共に示す。役に立った検索手順を保存し、共有する
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