本特集では「パーソナルコンピュータの父」と呼ばれるアラン・ケイが「すべての年齢の『子供たち』のためのパーソナルコンピュータ」を踏まえて、41年後に書き下ろしたエッセイ「Dynabookとは何か?」の全文を掲載する。第1話となる今回は、「DynaBook」の開発に関する歴史を振り返る。その中で大きな役割を果たした実験の一つが、「人類知性の増強」プロジェクトだったという(ITpro編集部)


アラン・ケイ(2008年11月5日) "no title" by Marcin Wichary is licensed under CC BY 2.0
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 発表から41年の時を経て、「すべての年齢の『子供たち』のためのパーソナルコンピューター」(“A Personal Computer for Children of AllAges”、以下APCFCOAA)を今読み返しながら、私はこの小論文で示したアイデアがどこから来たのか、なぜそのような形になったのか、そしてそのアイデアを当時と現在の文脈で批評するために、どれほどの補足が必要なのかに思いを巡らせました。もっともうまいやり方は、まず、関連技術に関する歴史を簡単に説明し、そのあとで私が所属していた研究コミュニティの情熱に満ちた社会的かつ技術的な理想主義について、より詳しく語ることだと思います。

 60年代前半、ARPA(Advanced Research Projects Agency=米国高等研究計画局)の心理学者JCR・リックライダーが偉大なビジョンを提唱しました。それは、「コンピューターが、ネットワークで繋がれた世界中の人々の対話型知性増幅器になることは必然である」というものでした。彼の理想とARPAの資金は、今日最も重要なパブリックドメイン技術群へと結実しました。そうした技術の例として、コンピューターグラフィックス、人工知能、コンテンツとプログラムの対話型オーサリング、グラフィカル・ユーザーインターフェース、パーソナルコンピューティング、インターネットといった、非常に多くの成果が挙げられます。

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