今回から4回にわたって,銀行の業務とシステムについて,詳しく解説していく。第1回目の今回は,銀行の基本的な役割や情報システムの発展経緯について見ていこう。

 今回から4回にわたって,銀行の業務と情報システムについて,詳しく解説していく。銀行の業務・システムに興味があるエンジニアや,将来かかわるかもしれないエンジニア,なんらかの形で銀行情報システムにかかわっているエンジニアは,ぜひ読んで欲しい。現在,銀行の情報システムを担当しているエンジニアも,復習のつもりで読んでみていただきたい。きっと,役に立つはずだ。第1回目の今回は,銀行の基本的な役割や情報システムの発展経緯について見ていく。

「銀行法」に基づいて,内閣総理大臣が営業を認可

 まずは,銀行の定義と分類について押さえておこう。

 「金融」の語源は「お金の融資」である。お金を融通する(貸す)ことだ。また,「金融取引」とは,(物々交換ではなく)お金を使った取り引き(商品・サービスとお金の交換)のことである。この金融取引の円滑化に貢献している「経済主体(経済活動を行う実体)」のことを,「金融機関」と呼ぶ。

 金融機関は,「どのような方法で『金融取引』の円滑化に貢献しているか」という視点から,図1のように分類できる。銀行(普通銀行)は,金融を仲介し預金を取り扱う金融機関であり,「銀行法」に基づいて内閣総理大臣が営業を認可した株式会社組織を指す。

図1●金融機関の分類
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 金融機関を「組織の種類」という視点で分類すると,図2のようになる。図に示すように,大きく中央銀行(日本銀行),政府系金融機関,民間金融機関に分類される。

図2●金融機関の種類(全国銀行の分類は10年前のもの)
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 日本銀行は,お金を発行し,お金の価値の安定化(物価の安定化)を図るとともに,“銀行の銀行”として,銀行間の資金決済の仕組みなどを提供している。政府系金融機関は,全額政府が出資した特殊法人のことだ。その一つである日本郵政公社は,2007年10月に持株会社である日本郵政のもとに4つの株式会社に分割された。10年後には完全民営化される。そのほかの政府系金融機関も,日本政策金融公庫を除いて最終的にはすべて民営化される。民間金融機関としては,銀行,協同組織金融機関(信用金庫,信用組合など),協同組織の中央機関(信金中金,農林中金,商工中金),証券関連(証券会社,投信委託会社など),保険関連(生保会社,損保会社など),ノンバンク(消費者信用,リース会社など)がある。

 では,銀行にはどんな種類があるのだろうか。銀行の再編が激しくなる以前の10年前は,銀行を以下のように分類することが普通だった(図2参照)

  • 全国的に営業展開している「都市銀行」
  • 各都道府県に営業基盤を持つ「地方銀行」
  • 相互銀行(相互銀行法に基づく銀行)から普通銀行に転換した「第二地方銀行」
  • 「長期信用銀行法」に基づく長期融資を主な業務とする「長期信用銀行」
  • 「兼営法(普通銀行の信託業務の兼営に関する法律)」に基づき銀行業務に加えて信託業務(財産を運用・管理する業務)を営む「信託銀行」

 現在では,このような銀行の分類はあまり使用されなくなっており,「全国銀行協会」に所属する全国銀行(2007年12月現在128行)を,大きく「主要銀行」と「中小・地域金融機関」に分類することが多い(図3)。なぜなら,金融庁の行政がこの2つのグループを主な対象にしていることが多いからだ。

図3●銀行の分類
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 「主要銀行」としては「メガバンク」(みずほ銀行,三菱東京UFJ銀行,三井住友銀行,りそな銀行,みずほコーポレート銀行),「伝統的信託銀行」,「旧長期信用銀行」があり,「中小・地域金融機関」は主に「地方銀行」と「第二地方銀行」に分類される。なお,2006年のあおぞら銀行の普通銀行への転換に伴い,現在では長期信用銀行は存在しない。

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