プログラミングは難しい。筆者が実感したのは1979年から1980年にかけてであった。使っていたコンピュータは日立製作所のHITAC8350、プログラミング言語はPascalだったと思う。「思う」と書いたのは、記憶に曖昧な点があるからだ。

 筆者が在籍していた大学には8350が設置されていたし、授業で最初に習ったプログラミング言語がPascalであったことも間違いない。だが、8350を使ってPascalプログラムを動かしたかどうかがよく分からない。Pascalの授業とは別に、8350を使ってFORTRANプログラムを処理したのかもしれない。

 それでもパンチカードにプログラムを一行ずつ打ち込み、カードリーダーから読み込ませてコンパイルし、動かしたことは覚えている。いや、動かなかった記憶が鮮明にある。一文字でも打ち間違いがあるとエラーが出た。間違いを見つけて新しいカードに正しいプログラムを打ち直し、もう一度すべてのカードを揃えてからリーダーにかける。こうした面倒な作業を、当たり前と思ってこなしていた。

 卒業研究の対象はコンピュータではなかったが技術計算をする必要がありFORTRANプログラムを少々書いて今は亡きDEC社のPDP-11上で動かした。といっても一からプログラムを書いた訳ではなく、研究室の先輩が残したプログラムを手直ししたり足りない機能を追加したりした程度であった。新規開発ではなく保守をしたと言える。

 当時は、NECのPC-8000やシャープのMZ-80といった国産パソコンが登場した時期でもあった。コンピュータ技術者になりたいと思ってその大学に入ったのだから、自分でコンピュータを持つべきだと考え、休みの日に某ファミリーレストランで働き、貯めた金でMZ-80Bを買った。

 その頃出版されていたコンピュータ雑誌には、マシン語のプログラムリストが掲載されており、実際にマシン語を使ってパソコンを使いこなしていた同期の学生もいた。筆者の場合、BASICで簡単なプログラムを書くくらいであった。20万円以上したMZ-80Bを使いこなしたとは、とても言えない。

 「プログラミングはどうにも難しい。コンピュータ技術者に向かないようだ」。こう考え、筆者は別の職業を選ぶことにした。コンピュータ技術者すなわちプログラマーというのは誤解だが、当時はそう思っていた。もっともプログラミングはすべての基本であるという見方もできるから、コンピュータ技術者を目指さなくて良かったのかもしれない。

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