「Web会議システムは効率化の手段にすぎない。従業員の士気やチームワーク力を高めるには、実際に当事者同士が集まって、顔を見ながら議論するリアルな会議のほうがいい」。アナログ志向が強すぎるのだろうか、記者は以前までこうした考えを持っていた。

 ところが最近は違う。「Web会議システムを使いこなしたほうが、業務の効率化だけでなく、組織が活性化するのではないか」。こう本気で思い始めている。

 そのきっかけは、Web会議システムを使いこなしいている大手企業の担当者との雑談だ。その担当者の話はこんな内容である。

 「Web会議のほうがリアルな会議よりも、担当者同士の心理的な距離が縮まるような気がするんですよ」。記者にとって“意外”な意見だっただけに興味がわき、どういうことか聞いてみた。するとこうした“現象”が起きているというのだ。

 「Web会議システムだと、自宅で普段着姿で参加する人がいます。すると、ほかの担当者が『○○さん、その服いいねえ。いつもと雰囲気が変わるね』といった話から始まるんです」。

 似たようなエピソードはほかにもあるようだ。

 「会議システムの向こうから、子供の声が聞こえることもあります。すると、会議に参加している誰かが『子供はいくつになったの?』とか『知らなかった。□□さんに、そんなに大きなお子さんがいたんだ。うちも……』といった具合にプライベートな話になり、場の雰囲気が良くなります」。

 「こんな話をすると、効率がよくないように感じるかもしれませんが、それは違います。ちょっとした雑談が、いい“アイドリング”になり、会議も盛り上がります」。

 ネットを介した遠隔会議を使うと、案外といい雰囲気で会議が進むんだなあ――。素直にこんな感想を抱いた。

 もちろん、リアルな会議でも雑談はできる。ただし、その担当者によれば、どうもそれが最近は難しくなっているという。

 「最近は、会社でリアルな会議となると、出席者全員が、そこそこ忙しいせいか、時間短縮のために、すぐに本題から入ろうとするんです。それで雑談も一切なく、即プレゼンが始まる。効率はいいのですが、なんだかギスギスしたムードのまま、本音で議論という感じにならないまま会議が終了なんてことも少なくありません」。この担当者はこう嘆く。

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