午前9時から午後3時まで、昼休憩なしで6時間、集中して働くワークスタイル---。こんな思い切った働き方をファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが取り入れて、2013年5月でちょうど1年がたった。

 6時間労働制、通称「ろくじろう」の導入で、スタートトゥデイ社員の仕事とプライベートはどう変わったのか。6月初めに、話を聞きに行った。

 まずは笑い話のような質問から。「昼休みがなくて、お腹は空かないんですか?」。

 スタートトゥデイ社員の平均年齢は28歳。非常に若い。それだけに、お腹も空くだろう。私はそこから話を切り出した。

 すると広報担当の女性が、隠さず答えてくれた。「軽食はOKなんです。みんな結構食べていますよ」。

写真●6時間労働制(ろくじろう)を推進するEFM部の梅澤孝之ディレクター(左)と、ろくじろうを積極的に取り入れたマーケティング本部CFM部の岡崎徹ディレクター(右)。中央は受付に置かれたキャラクターのろくじろう
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 一般企業の総務部門に相当し、ろくじろうの推進役でもあるEFM(エンプロイー・フレンドシップ・マネジメント)部の梅澤孝之ディレクターが、こう付け加えてくれた(写真左)。

 「社長の前澤からは『プロ野球選手がベンチの中で食べているようなものならいいよ』と言われています」。

 野球に詳しくない人はピンと来ないかもしれないが、要はベンチで簡単に食べられるようなもの(つまり軽食)ならOKという解釈でいいらしい。朝コンビニで買っておいて、昼頃に自分の席でつまむ程度のものだ。

 ファッションアイテムを扱うスタートトゥディは社員の服装が原則自由。もともと職場環境に堅苦しい雰囲気はない。

6時間労働制なのに、1人当たりの労働時間が7時間台ってどういうこと?

 ろくじろうは、前澤友作社長の発案で2012年5月1日に始まった、いわばスタートトゥデイの挑戦である。壮大な実験と言ってもいい。根底には「日本人は働き過ぎ」という前澤社長の思いがある。

 誤解のないように最初にお伝えしておくべきことがある。6時間労働制は「強制」ではないということだ。

 2012年春にスタートトゥデイの6時間労働制導入が明らかになると、「6時間労働」という言葉だけが独り歩きを始めた感がある。「スタートトゥディの社員はみんな、6時間だけ働いて帰れるらしいよ」と思い込んでしまった人もいたようだ。

 しかし、それは違う。

 スタートトゥデイの労働時間は、就業規則では8時間。ただし、6時間で切り上げられる人は「6時間で帰宅してもよい」ということになっている。これがろくじろうだ。それでも給与は8時間換算で支払われる。

 前澤社長の狙いはズバリ、生産性の向上と午後3時以降の時間の有効活用にある。労働時間を6時間まで一気に縮めたら、社員は工夫して働かなければならない。社長が社員一人ひとりに対して、働き方を問うたわけだ。

 このユニークな制度にろくじろうという名前を付け、キャラクターまで用意する力の入れようである。

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