あなたは日々の仕事に取り組むなかで、「もっとスピーディーに仕事ができていたら」と思ったことはないだろうか。筆者の主な取材先であるシステム開発の現場も、そんな思いを抱くITエンジニアが多い。「チームが一丸となって開発しているのに、約束した納期にいつも間に合わない」「チームの開発スピードが向上すれば、使い勝手や品質を高められ、利用者にもっと喜んでもらえるものに仕上げられるのに」といった具合である。

 では、仕事のスピードを今以上に高めるにはどうすればいいのだろうか。筆者は、異業種の知恵をITの現場に応用することを提案したい。具体的には、トヨタ自動車の現場が確立した技「トヨタ流」を取り入れることだ。

 トヨタ流というと、最近は「トヨタの片づけ」という書籍が話題を集めている(同書の書評)。しかし仕事のスピードを上げるという観点でも、大いに活用しがいがある。事実、トヨタの抜群の生産性の高さに注目し、世界中の企業が手本にしているほどだ。

 「ITの現場と工場では勝手が違う」と思われるかもしれないが、トヨタ流の根底にある発想はITの現場にも十分に通用する。その発想とは、「顧客のために直接役立つ作業時間を増やすことで、本当の意味での生産性を高める」というものだ。裏返して言えば、顧客のために直接には役立っていない作業の時間を見つけ出し、効率化しようということになる。

 自動車工場を例に取ると、自動車を組み立てたり、部品を加工したりする作業は、顧客の価値に直結する。一方、部品を生産ラインに持ち込む運搬作業などは、必要ではあっても顧客にとっての価値には直結しない。この運搬作業のような時間を減らし、その時間を顧客の価値に直結する作業にあてれば、作業そのもののスピードは変わらなくても、実質的な仕事のスピードが高まるというわけだ。

 同じようにITの現場でも、顧客の価値に直結する作業がある一方で、必要ではあるものの顧客の価値には直結しない作業があるはず。例えば会議や社内の事務処理などがそうだ。そこで、現場の各作業にかかっている時間を洗い出し、顧客の価値に直結するかどうかで「仕分け」してみよう。意外なほど顧客の価値に直結しない作業が占める時間が多いはずだ。

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