タイトル

 約1年後の2014年4月1日、消費税が現在の5%から8%に変わる──。そうなった場合、消費者にとって最も身近なスーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店などでは日々、増税を実感することになる。

 こうした小売店や飲食店に欠かせないPOS(販売時点情報管理)レジは、消費税の税率が変わるタイミングで、システムの設定を変更しなければならない。全国に店舗網をチェーン展開する企業は、変更作業の対象となるPOSレジの台数が、それこそ数千台から数万台に達する。もちろん、台数の多さにかかわらず、小規模の店舗でも変更作業は避けられない。

 とはいえ、POSレジ変更の“タイムリミット”まで、ちょうど残り1年を切った現時点ではまだ、関係者の慌しさは見られない。POSシステム大手の東芝テックに確認してみると「ようやく問い合わせが入り始めたところ。まだ大きな動きは見られず、本格化するのはこれから」という。

 これには、取材を始めた私はちょっと拍子抜けした。しかし、それが現実であることを確認できたのは、現時点での収穫だったといえる。

 私が消費税の税率変更に伴うシステム修正に関心を持っているのは、前回の増税時にも取材をしているからだ。

 1997年4月、消費税がそれまでの3%から現在の5%に変わったとき、当時駆け出しの記者だった私はこのテーマで取材をしている。そして、そのとき私が在籍していた日経コンピュータの誌面で「記者座談会」に参加し、システム周りの影響を議論した。ただし、結果的には大きな混乱は見られなかった。その点も今回東芝テックに改めて聞いてみたが、やはり「混乱した記憶はない」との答えだった。

 さて、あれから16年もの年月が流れ、再び消費税が変わるときがきた。この間、私たちを取り巻くシステム環境は16年前には想像もできなかったほどに劇的な進化を遂げた。

 はたして、今回はどんな問題が起こり得るのか。事前に想定しておく価値はある。

 そこで私は1年を切ったこのタイミングで、久しぶりに消費増税をテーマに取材を始めてみようと考えた。

量販・飲食・物販と、業種によって想定される問題は異なる

 今回真っ先に取材したPOSシステム大手の東芝テックは、業種ごとにPOSレジの担当部署が異なっている。2013年4月中旬時点での取材では、量販店と飲食店、物販店の3つの担当者にそれぞれ応対してもらって、状況を聞いた。

 まずはスーパーなどのチェーン店が対象となる量販店。この業界は何より、POSレジの設置台数が非常に多いことが特徴だ。しかも最近はコンビニに限らず、24時間営業や深夜営業が珍しくない。

 チェーン展開するのはほとんどが大企業なので、組織だったシステム対応が可能だ。とはいえ、「消費税率が変わる前日の2014年3月31日のギリギリのタイミングを待って、一斉にシステムを変更することになる。深夜でも営業時間中の店舗は多く、変更処理は日付が4月1日に変わる瞬間の一発勝負。失敗は許されない」と、システムソリューション事業本部リテールソリューション事業部量販ソリューション商品部量販ソリューション商品第一担当の杉田延裕専門主幹は話す。

 具体的には、各店に設置されているPOSレジをまとめて管理する、店内の「ストアコントローラー(通称ストコン)」に、4月1日午前0時からの税率変更や売価変更を事前に仕込んでおき、一斉に実行をかけることになる。

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