ファンはしばしば思い込む。アイドルのコンサートに行き、「彼が私に手を振ってくれた」と感動する。ソーシャルネットワークに書き込んだ短文に呼応するかのような一節を愛読している作家のブログで見つけ、「返事を書いてくれた」と感激する。

 同様の体験を先日した。愛読しているライトノベル『なれる!SE』シリーズの第7巻を書店で手に取ったところ、表紙カバーに「目からウロコの?客先常駐術」と刷ってあった。それを見て、作者の夏海公司氏がファンである筆者の希望をかなえてくれたことが分かった。

 ITproの「記者の眼」欄で2012年5月21日に公開した拙文『「萌えるSE」と「燃える営業」、永遠の闘い』に次のように書いた。

 最後に愛読者として希望を述べたい。SEを冠したシリーズである以上、どこかで業務アプリケーション開発の話を正面から取り上げてほしい。これまでの6冊はバックアップセンターの構築やネットワーク運用の話が中心であった。

 日本においては「業務アプリケーションの開発」が「客先常駐」になることが少なくない。契約上は請負であっても、SEは客先に常駐して開発を担当する。つまり第7巻は「アプリケーション開発の話を正面から取り上げて」いるに違いない。

「なれる!SE」シリーズに日経コンピュータが登場

 「これほど早く希望に応えてくれるとは」と喜びつつ第7巻を買い、翌日の夜、読み始めた。直ちに「自分の希望通りの作品を書いてくれたというのは、思い込みではなく事実」と言い切れる記述を発見した。第7巻の冒頭に次の台詞がある。

 「結構切れ者だったらしいよ。難度の高いプロジェクトをいくつもこなして、一時は日経コンピュータの特集にも出てたみたい」

 「なれる!SE」シリーズに「日経コンピュータ」という単語が登場したのはこれが初めてである。初出であるため「日経」に「にっけい」とルビが振ってある。明らかに作者の夏海氏は、5月に筆者が公開した一文を読んでいる。拙文に次のように書いておいたからだ。

 「1年間で降りてしまったものの日経コンピュータ誌の編集長を務めた人間が『話題の萌えるSE残酷物語』と帯に書かれた本を買ってよいものだろうか」。

 これは「なれる!SE」シリーズを初めて書店で買おうとして悩んだ時の様子を書いた下りである。これを読んだ作者は第7巻でさりげなく日経コンピュータに触れてくれたわけだ。

 しかも日経コンピュータを持ち上げてくれている。「難度の高いプロジェクトをいくつもこなして」いる「切れ者」だと「日経コンピュータの特集」に出られるというのである。

 確かに日経コンピュータは敏腕プロジェクトマネジャに登場頂く記事を時折掲載している。もっとも難度の高低にかかわらず、プロジェクトに失敗すると「動かないコンピュータ」という連載欄に出られるのだが、それはさておき「なれる!SE」という愛読書の中に日経コンピュータの名前を見つけて嬉しかった。

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