OSSであることは不安視する材料にならない

 ビッグデータが注目されているのは、大量のデータ処理を比較的安価に実現できる分散処理ソフト「Apache Hadoop」(以下、Hadoop)によるところが大きい。「IT業界側の動きでは、Hadoopに代表されるオープンソースソフトウエア(OSS)を活用して、以前より安価にデータ分析できる手立ての整いつつあることが、ビッグデータ活用が注目される大きな要因」(日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業インフォメーション・アジェンダ事業部ICPの野嵜 功氏)である。

 ビッグデータ活用の象徴としてHadoopが注目されるに従い、その可能性についても大きな期待が寄せられている。ただし、期待の大きさがバズワード感を強めたといえるかもしれない。大量の非構造データを素早く処理でき、以前よりも格段に短時間でバッチ処理ができるHadoopのインパクトの大きさが、過度の期待を招いたというものだ。ただし、今では、Hadoopの得意な処理、不得意な処理が理解されつつあり、その特性に適した用途での利活用が進みつつあるようだ。

 また、企業システムでの利活用を前提にすると、Hadoopには機能面で足りない部分があるかもしれない。管理機能、信頼性、安全性では以前からあるデータ分析ソフトに劣る場合があり得る。ただし、こうした不十分さについては、「運用上の工夫で十分カバーできる。今までOSSを活用してきたのと同じこと」(NTTデータ 基盤システム事業本部 シニアエキスパートの濱野 賢一朗氏、関連記事:ビッグデータ活用は事業戦略そのものだ)という意見もある。

 OSSの代表格であるLinuxの軌跡を振り返ってみるとこの主張には説得力がある。2000年代初頭のLinuxに対しては、科学技術計算では有効かもしれないが、エンタープライズ分野、特に基幹業務での利用については慎重あるいは否定的な意見が多かった。初期投資は安いかもしれないが、大規模での処理性能、信頼性、安全性、運用管理面、そしてアプリケーションやミドルウエアの数では、大幅に既存システムに劣るというものだ。しかし、その後の10年でどうなったか。Linuxは東京証券取引所の株式売買システムなど基幹系でも当たり前のように使われるようになっている。

 余談になるが、感慨深いのは、Android端末の普及である。5~6年前までは、「サーバー用途ではLinuxは普及しても、パーソナルまたはコンシューマ用途ではWindowsに太刀打ちできない」とされてきた。デスクトップ用途では依然として太刀打ちできないものの、Linuxを搭載したAndroid端末がコンシューマITを支え、ビッグデータ活用の一翼を担いつつある。

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