数十Mビット/秒クラスの高速モバイルデータ通信サービスは、現在、WiMAX方式やLTE(Long Term Evolution)方式、DC-HSDPA(Dual Cell High Speed Downlink Packet Access)方式などを様々な通信事業者が提供中だ。

 NTTドコモは、LTEサービス「Xi」(クロッシィ)を2010年12月から提供中。ソフトバンクモバイルは2011年3月からDC-HSDPAサービス「ULTRA SPEED」を提供しており、イー・アクセスも同様のDC-HSDPAサービス「EMOBILE G4」を2010年11月から提供している。

 一方、KDDIは関連会社のUQコミュニケーションズが、他社に先駆けて下り最大40Mビット/秒のデータ通信サービス「UQ WiMAX」を2009年7月に開始し、現在も順調に契約者数を増やしている。2011年10月末時点の契約者は133万3000。10月の純増数は9万5600と、NTTドコモの8万9600やイー・アクセスの5万5000を上回った。

 筆者は、UQ WiMAXの試験サービスが始まった2009年2月、今回と同じ「記者の眼」で「モバイルWiMAXサービスは“買い”か?」という記事を書いた。それから3年弱。UQ WiMAXのサービス内容も大きく変わったと同時に、競争環境も大きく変化した。

 前回と同様にWiMAXを軸にして他社サービスと比較することで、最近の高速モバイルデータ通信がどのような状況になっているかをまとめてみよう。

通信速度:もはや40Mビット/秒では高速と呼べない?

 約3年前と比べ、大きく変わったのが通信速度の状況だ。当時は40Mビット/秒というとモバイルデータ通信としては圧倒的な速さと言えたが、もはや40Mビット/秒は普通と言えるほど他社サービスの高速化が相次いでいる。

 NTTドコモのXiは、下り最大37.5Mビット/秒(一部屋内エリアでは最大75Mビット/秒)。さらに、東名阪以外のエリアでは2012年度から順次、下り最大100Mビット/秒とし、東名阪でも2014年度をめどに高速化するとしている。

 DC-HSDPAサービスは、イー・アクセスのEMOBILE G4もソフトバンクモバイルのULTRA SPEEDも下り最大42Mビット/秒だ。そして両社ともさらに高速なサービスを始める。イー・アクセスは、2012年3月に下り最大75Mビット/秒のLTEサービスを開始。ソフトバンクモバイルは、関連会社のWireless City Planning(WCP)がインフラ展開するAXGP(Advanced eXtended Global Platform)を活用する下り最大110Mビット/秒の通信サービス「Softbank 4G」を2012年2月に本サービス化する。

 WiMAXにも、「WiMAX 2」という現行のWiMAXをさらに高速化したした規格はある。周波数の割り当てなどにも左右されるが、UQコミュニケーションズによると2013年早期に165Mビット/秒のWiMAX 2(20MHzシステム)のサービスを始めたいとしている。

 もちろん、これらの速度は理論値であり、実際にこれほどの実効速度(スループット)を得られるわけではない。それでも電波状況の良い場所では、UQ WiMAXでも10Mビット/秒近いスループットが出ることも珍しくない。100Mビット/秒以上のサービスでは、コンスタントに10Mビット/秒以上のスループットを期待できるだろう。

写真1●シンセイコーポレーション製の屋内に強い据置型WiMAXルーター「URoad-Home」(右)と、同社製のモバイルWiMAXルーター「URoad-8000」
[画像のクリックで拡大表示]

 こうなると、モバイル用途だけでなく家庭やオフィスの固定回線の代替としても利用価値は高い。UQコミュニケーションズは以前からこうした固定回線の代替用途をアピールしてきたが、2011年11月下旬には屋内に強いAC電源駆動の据置型WiMAXルーター「URoad-Home」を発売した(写真1関連記事)。従来製品と比べてWiMAXの送信出力やアンテナ利得を高めており、屋内でもWiMAXの電波を捉えやすくしたほか、電波が弱い状態でもスループットの向上を見込めるとしている。

 URoad-Homeを実際に試してみると、窓際から20数メートル離れたオフィスの打ち合わせスペースのように、モバイルルーター(写真1のURoad-8000)のスループットが500kビット/秒程度しか出ないような場所でも、窓際に置いたURoad-Homeを使うと約3Mビット/秒程度のスループットを得られた。一方、同じ条件でURoad-8000を窓際に設置しても800kビット/秒程度しか出ない。これは近くに置くことを前提としているURoad-8000と据え置き型のURoad-Homeでは、無線LANのパフォーマンスに差があるからと思われる。

 こうした高速なモバイルデータ通信も、もちろんFTTHほどのスループットは見込めない。しかし電話局からの距離によってはスループットが大幅に低下するADSLよりも、場合によって高いスループットを見込める。速度的には、高速モバイルデータ通信は完全に固定用途を含めて競合する時代に入ってきている。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら