(3)継続的な支援

 仙台で行われたイベントに参加して地元の方に最初に言われたことは、「地元産業にもっと目を向けてほしい」ということだった。別のイベントでは「震災直後から、仕事が激減した」という報告があった。自己紹介で、「震災後に失職、現在は求職中である」という方もいた。

 被災地の厳しい現実を目の当たりにしたのだが、光明を見出すとすれば、地元の活動に一体感が生まれていることである。仙台のエンジニアたちは、Androidを中核に産業の活性化を目指す「ファンドロイド・イーストジャパン」を発足させ、みやぎモバイルビジネス研究会など既存の団体との連携を取りながら、スキルの底上げ、人的なネットワーキング作りに励んでいる。

 最近、被災地の多くの人が最も心配しているのは、関心が薄れていくこと。震災以降、IT分野を含む様々な支援の手が差し伸べられたが、最近はその活動も少なくなり始めている。「どうしたら継続するのか」は、地元の方たちの願いであり、課題でもある。

 そこで先に挙げた復興創発会議 in 仙台では、「考えるプロセス」を重視した企画作りをした。ほとんどの人は今後、様々な課題に直面するはず。そんなときに「会議で会った、あの人ならどう考えるのか」と考えてほしかったからである。今回ゲストとして招待した、米サンフランシスコ在住でシリコンバレーの生活や仕事ぶりを良く知る、Evernote Corp.の外村仁氏、使い勝手に優れたソーシャル家計簿「Zaim」作者の閑歳孝子氏には、予定した時間には収まりきらないほどの質問をいただいた。今までの生活とは“異質”な人たちとの交流が、今後の糧になれば幸いである。

 冒頭で紹介したA3 Togetherも、震災直後に数多く登場したIT支援活動が長く継続してほしいという想いで始めた企画。最初にこの企画を提案いただいたNTTドコモをはじめ、KDDI、NECグループ、LG Electronics Japan、Samsung Electronics、シャープ、ソニー、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ、パナソニックモバイルコミュニケーションズ、富士通、アドビシステムズ、NTTコミュニケーションズ、Evernote、クアルコムジャパン各社に協賛をいただいている。

 さらに、Evernoteの「Evernote Developer Competition」、ディーツー コミュニケーションズの「アプリ甲子園」、慶應義塾大学の「ケータイ未来コンテスト」、リクルート メディアテクノロジーラボ(MTL)の「MashUp Awards」、とともに、コンテストの連合プロジェクト「Power Apps JAPAN」を推進している。複数のコンテストの連携で、被災地のことをできるだけ長い期間に渡って考えてもらおう、という趣旨で始めたプロジェクトだ。

 A3 Togetherは、現在申し込みを受け付け中である。テーマは、「被災者支援」「産業復興」「安心・安全」のいずれでもいい。作品の形態としては、実装されたアプリやサービスだけでなく、アイデアだけでもいいし、スマートフォンを使ったサービスの体験談でもよい。皆さんのユニークなアイデアや、リアルな体験談が見られるのが楽しみだ。手続きの詳細は、応募手続きにある。少しでも多くの方に関心を持っていただき、応募いただけると幸いである。

 3月11日の震災発生からもうすぐ半年を迎える。9月11日前後には様々なイベントが催され、注目が一段上がるだろう。その後も、本コンテストなどを通じて、被災地への想いや働きかけが長く続くことを願っている。

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