このコラムも今回で10回目になりますが、プライバシ規制事情を取り上げるのは今回が初めてです。RFIDタグはデータを長距離・隠密裏に読み取れるという特性から、また商品コードに加えユニークIDも格納できるデータ容量から、利用者の行動情報の収集に利用されるのではないかという議論が行われてきました。現在でもプライバシはRFIDの普及に向けて取り組むべき最大の課題の一つで、今まで全く取り上げなかったのはバランスを失していたかもしれません。米国では今年に入ってから州レベルでの規制の報道が複数出てきましたので今回のタイミングで取り上げることとしました。今回の記事ではそれらの規制の議論について概要をご説明し、あわせて私の意見を少し書きたいと思います。

州ごとに全く異なるRFIDのプライバシ規制方針

 ご存知の方も多いように、米国ではそれぞれの州が独自の法律を持っており、州ごとに異なる規制があります。RFIDの規制もその例外ではなく、州ごとに様々な動きがあります。今年になってから、ワシントン州、ネバダ州、ニューヨーク州、ニューハンプシャー州などがそれぞれ独自のRFIDプライバシ規制法案の審議を始め、RFIDの業界紙などで取り上げられました。それらの法案の概要は以下のようなものです。

ワシントン州

 HB 1011という法案が知事の署名を経て4月13日に発効しました。この法案はRFIDタグの発行者以外の第三者がRFIDタグを読み取ることを禁止するものです。発効した法案はオリジナルからかなりの修正が加えられました。例えば、オリジナルにあったRFIDタグを含む品物(会員カードなど)を渡す際に同意書に署名が必要という条項はビジネス上の判断にゆだねるべきだとして削除されています。また第三者の読み取り禁止の除外が、リーダーが本来の目的外のタグを読んでしまった場合についても、公開・利用せず直ちに削除することを条件に明示的に記述されました(このほか救急医療や警察での許可を得た使用、また正当な学術実験なども対象外となっています)。

ネバダ州

 SB 125という法案が州上院に提出され、現在審議が続いています。この法案はRFIDタグのID情報を所有者の同意なく読み取ることを犯罪としていますが、詐欺やその他の犯罪を目的とせず、通常のビジネスの一環として読み取る場合には規制の対象外としています。その一方で、この法案では学術的な検証実験(セキュリティーホールの存在を示す公開実験など)については規制の除外対象としておらず、その点が反対者の批判を受けています。

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