SEマネジャが入社2~3年生までの若手SEに何かやらせる時は,段取りを教え,手取り足取りして正しいやり方を教えることが重要だ。単に「あれをやっておけ,これをやっておけ」などと言うたぐいの,指示だけするのは厳禁である。

 すなわち「それをやるには,先輩の○○SEに頼んで○○プロジェクトの資料を見せてもらい,▽▽のマニュアルも参考にして△△をまとめる。それがまとまったら俺に見せろ。OKだったら顧客の□□さんに説明して意見を聞く…」というふうに仕事の手順を教え,そしてそのSEができなければ一緒にやって教えてやることだ。するとそのSEは仕事の道筋がわかるし,困ったら教えてもらえるので安心して仕事ができる。しかも上司やベテランSEから教えられた正しいやり方がしっかりと身につく。

 今回は筆者の現役時代の経験に基づいてそれについて述べる。

放任された新人SEは,ドタバタを正しいやり方と思い込む

 まず,筆者が言う「段取りを教え,手取り足取り指導する」とはどんなやり方か,以下システム開発の例でそれを説明する。

 ある課に,小規模だが初めてシステム開発を行う3年生の松谷SEがいたとする。

 松谷SEの上司は,松谷SEのやるべきことや仕事の状況を考えて,「君はまずこのシステムの提案書を読み,開発要件や開発計画を勉強しろ。次に営業の△△に顧客の考えていることを聞く。そして開発計画の叩き台として,粗くていいからWBS(作業分解図)を作ってそれを俺に見せろ。その後,顧客の□□さんに説明して顧客の意見を聞く。その一方で▽▽のガイドを読んで,○○の教育に出て,○○の勉強をやってほしい。そして次には…」などという段取りを説明し,松谷SEに仕事をやらせる。

 すると松谷SEは,分らない点は自分で調べながら,教えられた手順に従って仕事を行う。SEマネジャは,松谷SEが指示したことができなければ一緒にやってやったり,レビューしてやるなど手取り足取りして正しいやり方を指導する。こんなやり方である。

 これは決して若いSEを甘やかすのではない。あくまでも指導でありOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)である。SEマネジャが何かの理由でそれができなければ,代わりにベテランSEにやらせることだ。

 もちろん,SEマネジャやベテランSEがこれを実行するのは楽ではない。だが,このようなやり方をしてきちっとシステムを稼働させて,SEに成功体験を味あわせると,そのSEは「苦労したがうまく行った。よかった。システム開発はこうするんだ」と感じ,そのやり方が身につく。

 すなわち,自ずと計画作り,要件定義,設計,プログラム作り,テスト,移行どなどの正しいやり方が身につく。そして次のプロジェクトも,その次のプロジェクトも,同じやり方を行う。そして足りないのところをSEマネジャやベテランSEが支援すれば,1回目と同様にうまく行く。そんな仕事のやり方をすることで,若手SEに段々と本物の正しいやり方が身につく。

 とは言ってもSEマネジャやベテランSEは忙しい。よほど意識しないと若いSEに「プログラム作っておけよ,テストをやっておけよ。任せる」などと指示型になりやすい。「任せる」という言葉は響きは良いが,やったことがない人間や,あまり経験していない人間に「任せる」とか「あれをやっておけよ」などとはちょっと乱暴過ぎる。

 任された(?)若いSEは,これまで先輩に習ったり勉強した範囲で一生懸命やる。だが悲しいかな,現実のプロジェクトはなかなか教科書や先輩に習った通りには行ってくれない。要件が予想外だったり,大きなバグにぶつかったり,顧客に叱られたり,予期せぬ事態に遭ったり,いろいろなことが起こる。結局は,進み具合も,右に行ったり左に行ったりして,行き当たりばったりのやり方になる。すると顧客と揉めたり,途中から先輩SEに応援して貰うなどのドタバタ劇になる。そしてやっと本番稼働までこぎつけ,何とか終わる。往々にしてこんな具合になる。

 するとその若手SEは「色々途中大変だったが,何とか本番を迎えられた。よかった」と思い,そのドタバタ劇のやり方を正しいやり方だと思う。すると次のプロジェクトも,その次のプロジェクトも,一回目と同じ行き当たりばったりのやり方を行う。そして周りのSEを巻き込みながらそのうち大トラブルを起こす。

 これが指示型SEマネジャの典型的なケースである。

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