先日,ブログを活用して社内の情報共有や社員の活性化に取り組む企業の担当者が集う社内ブログ活用研究会にゲストとして招かれました。

 これは,株式会社CIJが主催している研究会で,ファシリテーターをしている株式会社ナレッジサインの吉岡英幸代表取締役からお誘いを受けたのです(関連記事)。

 同研究会のルールにより参加企業と参加者のお名前は出せませんが,誰もが知っている出版社からIT企業まで,精鋭の担当者が集まっていたのです。そして,社内ブログ活用の先進事例として知られる企業の担当者さえも,日々頭を悩ましている課題について,赤裸裸に語りあったのです。

 多くの悩みを「一言で集約」するなら,「社内ブログが盛り上がらない」ということに尽きるでしょう。ブログで情報共有できる場ができても,1)書き込んでくれる人が少ない,2)重要な情報が集まらない,3)見に来る人が少ない という三重苦に見舞われているのです。

 そこで,大企業とベンチャーの勤務体験,社長体験,大学講師体験,ブロガー体験などを振り返りながら,研究会で参加者のみなさんにアドバイスしたことを,2回にわたってまとめてみましょう。

これまでの研究会で浮き彫りになった悩み

 吉岡さんにいただいた資料に,これまでの研究会で議論されたことが,わかりやすくまとめられていました。

 まず,社内ブログに期待することとして…,

  • 職務に関するノウハウの共有
  • 埋もれた情報資産の有効活用
  • ブログによる新たな情報価値の発見
  • エピソード単位での成功体験の積み重ね
  • 部署内・部署間の連携向上
  • 全社規模でのコミュニケーションの活性化
  • 内定者フォロー

などが挙げられていました。

 また,社内ブログで…,

  • 他の部署や人の具体的な仕事内容
  • 成功体験
  • 失敗体験
  • 他の人の考え方/価値観
  • 他の人のパーソナリティ
  • 人やモノ,情報に対する社員同士の接点が視覚化される

が流通・共有されることが期待されています。

 これまでも,グループウエアなどを通じて,社内の情報共有が試みられてきました。しかし,ブログは「より身近な現場情報」を「肩肘はらずに生々しく」,しかも「その人の顔や人柄が見えるカタチ」で伝えあうメディアとして期待されているのでしょう。

 しかし,一方で,悩みとして…,

  • 書き込みが少ない
  • 利用者そのものが少ない
  • 期待している情報が得られない
  • ストック情報に弱い
  • 経営的な効果が見えにくい

ことが挙げられています。

 やはり,どうも期待ばかり先行して大きいものの,「社内ブログ」は盛り上がりに欠けているようです。

コミュニケーション下手の個人主義社員が増加

 「社内ブログが活性化しない」理由を考える際には,まず社内の対人コミュニケーションが円滑かどうか考える必要があるでしょう。

 残念ながら,核家族でテレビやパソコン付き個室にて育ち,地域コミュニティとも切り離され,両親と教師以外の大人を知らないような「世代間コミュニケーション下手」の若者が増えています。悪気はなくとも,また身近な上司や同僚であっても,ついつい「コミュニケーションの壁」を作ってしまう傾向にあるようです。

 こうした若者たちが,メールを誤った形で手にしてしまうと,「実際に会って話した方が効果的な場合」でさえ「メールだけで済ます」ようになるでしょう。わざわざ顔を合わせたり,見つめ合ったり,ドキドキして面倒なことに直面しなくても済むからです。もちろん,取引先や上司のお小言やお説教を聞く必要もありません。

 仕事と個人を峻別する個人主義社員は,昔のように仕事帰りに飲みに誘ってもついてこないし,社員旅行やクラブ活動にも積極的に参加しませんので,コミュニケーションを深める場もありません。

 リアルな場=オフラインで活性化していないコミュニケーションが,社内ブログを使ったからと簡単に盛り上がるというものではないのです。なにか,社内ブログとセットで,研修や発表会などのオフライン・イベントも考える必要があるはずです。

社内では「出る杭は打たれる」ので口を閉ざす

 また,社風や企業文化も,社内ブログが盛り上がるかどうかの大きな要因のようです。

 本来であれば,年齢,性別,所属,役職を問わず,オープンに議論したり,助言し合い褒め合う,すぐに実行する文化があれば理想的です。しかし「出る杭は打たれる」から「何か思いついても黙っている」という企業文化が根づいていれば,ブログを入れたところで活性化への道は遠いと言えましょう。

 特に,年功序列の大企業における世代間のコミュニケーション・ギャップは想像に難くありません。しかし,若い社員ばかりのベンチャー企業であっても,急成長して社員が急増すると似たような問題が発生することがわかりました。「もともといた創業メンバー」と「新しく入社したメンバー」で大きなコミュニケーション・ギャップが生まれやすいようです。

 こうした「世代間ギャップ」「入社ステージ&年次ギャップ」の融和策として,社内ブログに期待を寄せる経営陣も多いようです。しかし,ブログ単体で,そのギャップを埋めることは難しいでしょう。

社内に斬新な知恵が集積しているのだろうか?

 グループウエアにせよ,社内ブログにせよ,「社内には属人的な知恵がたくさんあって,それを共有し活用することに意味がある」という考えがベースにあるはずです。

 もちろん,その通りですし,あえて否定はいたしません。しかし,例えば,私がバブル崩壊前後に大手証券会社で経験したのは,まさに「右向け右」「金太郎飴」的モノカルチャーでの情報偏向でした。どんな大組織であっても,誰もが同じ情報源と思考・行動様式で動いていたとしたら危険です。情報共有によって,希望的観測や古い経験則が,未来永劫続く大原則にさえ思えてくるからです。

 反対に,オンライン,オフライン問わず,異業種交流会などが盛り上がるのは,「自社の常識は,他社の非常識=新鮮な発見」だからでしょう。会社の中では,当たり前でわざわざ口にしない情報であっても,他のメンバーが面白がってくれるので,ついついもっと話したくなるのです。

 さらに言えば,こうした勉強会では,どんな若輩の非役職者であっても,上司やもっと詳しい先輩の目を気にせず「会社代表」として発言できます。その自由さや誇らしさと,メンバーから前向きな関心と尊敬のまなざしを集める喜びが,情報発信と共有をしたくなる原動力でしょう。

 その大きな喜びに比べると,わざわざ誰もが知っていて話すまでもないことを,誰も褒めてさえくれない社内ブログに書き込むのは気が進まないのは当然です。

 やはり,社内ブログで完結するのではなく,その情報を欲している社外のステイクホルダーに向けて情報発信する仕組みとうまく融合する必要があるでしょう。そして,大いに感謝され,自分の情報が必要とされている実感を味わうことで,社内も社外もハッピーになるのです。

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