前回に引き続き,2008年1月30日から2月1日,東京ビッグサイトで開催されたITpro EXPO 2008体験記を書かせていただく。

 1990年代,私は毎年米国へ出かけてコンベンション会場で知人を見付けることを積み重ねてきた。そのお陰で米国企業で働く多くの人々と知り合って,仕事の機会も得てきた。その成功体験が今も残っているので,ITpro EXPO 2008の会場の雰囲気には違和感があった。その違和感を一つひとつ説明しようと思う。出展社と来場者の双方に役立ててもらえることを期待して。

水冷パソコンがなぜかグリーンITコーナーに

写真1●日本HPが出展した水冷方式のデスクトップ・パソコン
写真1●日本HPが出展した水冷方式のデスクトップ・パソコン
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 会場では,日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の説明員の方と立ち話をした。水冷のデスクトップ・パソコン(本当はサーバーか?)が展示してあって,なかなか高性能なパソコンだと聞いた。パソコンとしての静かさが抜群なのだそうだ。確か「図書館並の静けさを実現」とあったような(写真1)。

 空冷方式のパソコンを静かな空間で使うと,ファンやハードディスク・ドライブの回転音が聞こえてくる。テキストを推敲しているときなど,煩い,気が散るとイライラ感が募る。「だから水冷式を…」ということのようだが,惜しむらくは個人が買うには価格が高すぎる。

 ところで,この水冷パソコンは「グリーンIT」という看板の下に置かれていた。どうして,グリーンITなのだろうか。そもそも,グリーンITの意味を正確には理解していないので,その理由が分からないのが悔しい。

 米国には昔からGreen Marketingという概念がある。今でいう環境問題に直結する考え方だ。WikipediaではAmerican Marketing Associationによる,「green marketing is the marketing of products that are presumed to be environmentally safe(Green Marketingとは,環境に安全であると考えられる製品のマーケティングです)」という定義が紹介されている。

 一時,フリーランスでテーマを探していた時代,このグリーンマーケティングにはまりかけた。しかし「パソコンの販売経路(marketing channel)」というもっと面白いテーマが見つかって,徐々に関心が薄れていった。グリーンITというのは,その頃の記憶を呼び起こしてくれたように思う。私なりに解釈すると,ITがグリーンにどう貢献できるか,といったところだろう。

 グリーンITは次のキーワードになるかもしれないと思った。

アキバ系の宣伝係に違和感を感じた

写真2●アキバ系の出現の意味は?
写真2●アキバ系の出現の意味は?
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 7~8年以上も前のことだが,数年間,私は日本ユニシスの仕事を手伝わせてもらって,展示会への出展内容とか出展の仕方というのをつぶさに学習させてもらった。だから少しは出展社側の事情というものも推測できる。それで,違和感を覚えたのはアキバ系の宣伝係だった(写真2)。

 時代は変わりました,というべきなのか。いや,私には勘違いという印象だ。見込み顧客を集めたいのであれば,超えてはならないルビコン川のような一線がある。それは(臨時に雇った)宣伝係である。写真を見られて,苦笑いされるのはまだよい。馬鹿にされているのかと思う人がいることを,企画段階で議論しなかったのだろう。話を聞く気にならなかったので,避けて通った。

 もうひとつ気になったのは「オマケに釣られて」の来場者が目立つように思えたことだ。ITpro EXPO 2008では,主催者企画としてICタグを使った「ポイントラリー」が実施されていた。特設会場などをまわるたびにポイントがICタグに加算されていき,たまったポイント数に応じて,抽選会に参加できるというものだ。会場では,それを目的に来場したとおぼしき人々が目に付いた。初老の背広姿も少なくない。個人的には,少しやるせない気持ちになった。

いろいろな意味での学習の場にならないかと思う

 私は,90年代に米国のコンベンションを毎年2~3カ所は観て歩いていた。1カ所では少なくとも2~3日はかかった。ひとつは展示会場が広くて出展者数も多かったからだ。全部観て歩くと,1日では収まらなかった。それから別の1日はセミナー,セッションに参加していた。聞きたい,話したいテーマを事前調べて参加した。

 そうすることで,随分といろいろなことを学習できた。この時期,米国ではこういうことが話題になっているのかと知ることができた。セミナーやセッションでは,スピーカーも隣の席の聴衆も,どこか友達という雰囲気だったので,しばしば話しかけたり質問攻めにしたことを思い出す(そうして友人,知人となった人達は,私のことをヘンな日本人だと最初は思ったそうだ)。

 さらに,出展企業の一員だった経験もある。その立場から見ると,今回の出展企業の多くには,まだまだ工夫が必要だろうと思えた。それは,この種の展示会への出展目的を考えてしまうからだ。「広告宣伝の一環です」というのは,景気の良い“お大尽”会社の台詞としては通りがいい。しかし,それはいずれ限度に達する。つまり費用と効果の関係だ。コンベンションで標的顧客の絞り込みが難しいのは分かる。しかし,製品にしろサービスにしろ,相応の絞り込みは必要だろうと思う。

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