先日,博報堂生活総合研究所(以下,生活総研)の研究提言発表会「INSIGHT OUT」で,上席研究員の吉川昌孝さん山本貴代さんの素晴らしい発表をお聴きました。テーマは「子供の生活10年変化」,サブタイトルには「暮らしの『3点確保』に向かうアフターバブル・キッズ」とあります。

 この研究は,10歳~15歳(小学5年生~中学3年生)の子供たちにスポットを当て,この10年間で生活意識や行動様式がどのように変わったかを把握するものです。生活総研が10年前と直近に行った子供・大人向け調査をもとに,1)97年と07年の2時点を比較,2)大人と子供を比較,3)子供の内面を把握して,アフターバブル・キッズの暮らしを浮き彫りにしました。失われた10年は,日本の子供たちをどう変えたのでしょうか。

 その研究発表の結果は,予想を良い意味で裏切り,日本の未来に「ほのかな希望」を感じさせるものでした。その一方で,これまでの商品・サービス企画やマーケティングでは通用しない「厳しさ」も明らかになりました。

 しかし,提言を見れば,アフターバブル・キッズ向けの「ブログを中心としたICT(Information and Communication Technology)サービス」と「そのコミュニティに密着したマーケティング」に大きな可能性が見え隠れしました。まさにアフターバブル・キッズこそ「ブログ道」を歩む未来の担い手だと感じたのです。

2007年子供調査クイズに見るアフターバブル・キッズの暮らし

 この発表の冒頭で,大勢の聴衆=大人たちに「2007年子供調査クイズ」が投げかけられました。それは,1997年の子供たちと2007年の子供たちが,それぞれ何パーセントずつ回答したかという興味深い「6つの質問」でした。

 私自身,今回の調査年代に近い9歳,6歳児の父でもありますので,回答には,ちょっと自信がありました。しかし,正解は私の予想値よりも先を行くものでした。

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                  1997年   2007年     2007年
                       私の予測値  実際の調査結果

Q1 時間的にゆとりがない方だ    30.6%    36%      41.6%

Q2 朝ごはんは一人で
  食べることが多い        24.0%    28%     30.1%

Q3 放課後や休日に友達の家へ    46.5%    60%     60.5%
  よく遊びに行く:いいえ

Q4 遊びと勉強ではどちらの方が   36.5%    40%     46.5%
  大事だと思いますか:勉強が大事

Q5 あなたは,普段宿題をしてから  16.8%    20%     23.4%
  遊ぶ方ですか? 

Q6 塾に行かないと不安だ      44.5%    48%     55.0%

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 このテストから始まり,調査レポートに並んでいる数字やコメントの数々を見れば,多くの方が新発見をするでしょう。ひょっとしたら,期待と不安も同時に感じるかもしれません。

アフターバブル・キッズの暮らしは3点確保で忙しい

 子供たちは忙しくなっています。起床時間は早くなり,就寝時間も遅くなっています。それでいて時間が足りないのです。だから,友達の家に遊びに行く時間もありません。忙しい中,自分で目覚ましをかけて起きる子も増えています。手に入れたいもののベスト3を見れば,1位「お金」,2位「いい成績」は10年前と同じですが,3位には何と10年前に5位だった「時間」が急上昇しているのです。

 では,何で子供たちはそんなに忙しいのでしょうか?

 多くの大人は,テレビやゲームだと考えるかもしれません。しかし,それは間違いでした。子供たちがテレビやゲームに使う時間は,明らかに減っているのです。時間があれば,睡眠時間と友達とすごす時間が欲しい。テレビを見るぐらいなら,ぼんやりする時間が欲しい。ゲームをやるぐらいなら勉強する時間が欲しいという結果が出ているのです。

 アフターバブル・キッズたちは,器用なことに,学校,家,塾や習いごとという3つの場で,それぞれ大切な時間を過ごそうとしていることが分かります。これを,生活総研の吉川さん,山本さんは「暮らしの3点確保」と呼びました。

  1. 学校では友達と緩くつながっていたい「関係確保」
  2. 家ではしっかりと癒されたい「休息確保」
  3. 興味関心の場で自分を育てたい「自我確保」

 3点確保とは,岩登りの基本です。手がかりや足場を3点確保しながら登るのが,バランスが取れて安全だという教えです。まさに,子供たちは忙しい中,無意識のうちに3点でバランスを取っているのです。

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