真っ逆さまに落ち続けていた「Windows Vista」の開発が急に持ち直した。何年も遅れ,いくつも約束を破り,ユーザーの期待を裏切ったことで,Windows製品チームは厳しい批判を浴び,「優柔不断で哀れな,製品の出荷など不可能なチーム」と評されてきた。ところが,米Microsoftが先ごろ驚くほどよい品質の「Windows Vista」プレ製品候補版1(RC1:Release Candidate 1)のビルドをリリースしたことと,9月初めに大々的にリリースするRC1が8月28日(米国時間)に完成できる見込みという同社の内部情報によって,悲観論は急速に静まりそうだ。

 これまでリリースされたWindows Vista評価版のぱっとしない品質を考えると,状況がここまで急激に好転するとは思っていなかった。Microsoftが8月25日遅くに出荷したWindows Vistaのビルド5536は,パフォーマンス,互換性,最終的な仕上げと調整など,過去に起きた問題のほとんどを解消しており,バグ修正に向けた取り組みも強化していた。ここにきて急に,Windows Vistaについて「きちんと動く」という表現が使えるようになったし,そのように表現しても皮肉な笑いが吹き出すこともなくなった。今回は本物だ。「全く予想外だった」といわざるを得ない。

 SuperSite for Windowsに掲載したレビュー記事「Windows Vista Build 5536 Review」に,プレRC1(ビルド5536)の詳細な情報をまとめた。このビルドは技術ベータ・テスターとMicrosoftに近い人物にだけ,8月第4週の末にリリースされた。Microsoft Developer Network(MSDN)とTechNetの会員は,8月第5週の終わりに入手できるだろう。

 しかし最も重要なことは,Microsoftが間もなく本物のRC1ビルドを,世界中のユーザー数十~数百万人に提供することだ。RC1のレベルがビルド5536並みなら(間違いなくそうなるだろう),当然ほとんどのユーザーは大喜びする。特に,ベータ2版の不出来に困惑していたならなおさらだ。

 著者がMicrosoftの関係者から得た情報によると,同社は8月28日の午後にWindows VistaのRC1を完成させる予定という。完成版RC1のビルド番号は5568.16384で,その日のうちに社内で配布し,すべて順調にいけば翌週顧客に提供できる。

 8月5日の時点で,Windows VistaのRC1ビルド用ツリーには,825件以上のバグが存在していた。それから1カ月も経過していないことを考えれば,今回の進展がどれほど大きな出来事であるのかよく分かる。8月28日現在,バグの数はたった7件に減り,いずれも動作停止を起こしたり,顧客向けリリースを妨げたりするようなものではない。

 ここで今後のスケジュールを紹介しておく。Microsoftは9月のごく早い時期にWindows Vista RC1の出荷を計画している。恐らく9月4日の祭日「Labor Day」に絡む連休の直後だろう。そして10月中旬から下旬に製品版を完成させ,ボリューム・ライセンス版を11月に出荷する。小売店での店頭販売やパソコンへのプリインストール販売は,2007年1月終わりごろから始まる見込みだ。

 わずか1カ月前は,それまでのビルドで発生した問題からみて,このスケジュールは挑戦的すぎると思われていた。突如,予想に反し,状況は完全に変わった。

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