米Microsoftは英国政府からの要求に対し,「Windows Vistaにはいかなる種類のバックドアも作らない」と述べている。ここで言うバックドアとは,暗号化システムの回避手段を捜査当局に提供するためのもの。英国政府は,犯罪者が使うWindows Vistaフォーマットのハード・ディスク装置から情報を読み出せるようにするため,バックドアを作るようMicrosoftに求めていた。

 Microsoftの担当者は「Windowsにバックドアを作ったことはないし,今後も作ることはない」とした。Microsoftの暗号専門家であるNiels Ferguson氏は,2006年3月第1週のブログ記事で,もう少し詳しく述べている。「英国政府による提案は,(ハードウエア・ベースの暗号化技術)BitLockerで暗号化されたデータを確実に読めるようにするために,バックドア開発を共同で進めようというものだ。私の目の黒いうちは,そのようなことなど絶対に許さない」。

 BitLockerはWindows Vistaの新機能で,ハード・ディスク装置を丸ごと暗号化できる。これまではFull Volume Encryptionと呼ばれていた。パソコンを盗まれたり落としたりしても,ハード・ディスクのデータを読まれないようBitLockerが守ってくれる。

 さらにFerguson氏は,「捜査当局はBitLockerで暗号化されたデータを読みたくなる状況が訪れるとみており,それに備えておきたいのだ」と指摘する。「バックドアはまったく受け入れられない。われわれの開発チームに,バックドアを仕込んだり試験したいと考える人間は皆無だ」(Ferguson氏)。

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