調査内容 主要ベンダーに対する「利用したい理由」(その2)
調査時期 2008年10月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3124件(1247件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年10月調査で,「今後利用したい」という回答を得たベンダーに対する「利用したい理由」を分析した。11月18日付け記事での得票数トップ5社に続き,今日の記事では得票数100以上の残り5社(アドビ システムズ,富士通,日本IBM,NEC,シスコシステムズ),およびそれ以外の利用意向率上位ベンダー(11月14日付け記事参照)についての結果を紹介する。

アドビへの「導入後のサービス」期待は5.7%

 アドビへの『利用したい理由』は,「製品/サービスの機能」が今回も最大で64.3%。だが前回2008年7月調査での67.2%,前々回2008年4月調査での71.5%から見るとやや低下傾向で,今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダー29社(下の「■調査概要」参照)中の4位(前回は3位)。アドビに対して「導入後のサービス(保守、稼働継続)」を『利用したい理由』に挙げた回答者の比率は,前回の3.0%からやや上がって今回は5.7%だったが,前回と同じく最下位の少なさだ。

 富士通は,「過去の導入/利用実績」が『利用したい理由』の7つの選択肢中最大の43.1%だが,前回調査の50.4%から大きく減少した。「過去の実績」が最大の『利用したい理由』だったベンダーは,前々回2008年4月調査では富士通1社。前回調査では富士通,NTT東/西,NEC,日立製作所,KDDI,NTTコミュニケーションズの6社だった。

 今回はこの6社のうちKDDIが抜けた(「製品/サービスの機能」が48.5%で「過去の実績」36.4%を上回った)代わりに,11月18日付け記事で紹介したマイクロソフトや,オービックビジネスコンサルタント,セイコーエプソン,リコー,それに日本IBMの5社が加わった。今回は有効回答数30以上を得たベンダー29社のうち10社の『利用したい最大の理由』が「過去の実績」である。

日本IBMは「機能」が比率を下げ「過去の実績」と同率に

 この10社中唯一,日本IBMは『利用したい理由』のトップに「過去の導入/利用実績」と「製品/サービスの機能」が44.5%で並んでいる。前回調査では「機能」が52.1%,「過去の実績」は42.0%で約10ポイントの差があったが,「機能」への支持が大きく下がった。「機能」への支持だけで見ると前々回2008年4月調査での61.7%から約17ポイントもダウンし,前回調査に続いて29社の平均値(51.6%)を下回っている。

 日本IBMは前回調査での『利用したい理由』の比率と大きく変動した項目が多い。「企業規模や体制」は約10ポイント増(前回14.3%→今回24.1%),「コスト」(前回0.8%→今回6.6%)と「導入後のサービス(保守,稼働継続)」(前回19.3%→今回24.8%)は約6ポイント増。特に「コスト」は,前回調査では最下位の日本オラクルと0.1ポイント差という支持率の低さだったが,今回は下から数えて7番目に上昇,最下位のオラクルに4.1ポイントの差をつけた。

シスコの「ブランド」「機能」支持率も低下

 NECへの『利用したい理由』も,日本IBMと同じく,前回調査に比べて「製品/サービスの機能」の比率が大きく低下した。前回調査の42.7%が,今回は32.6%へと約10ポイント・ダウン。「ブランドや企業イメージ」(前回より6.6ポイント増の34.1%で,NTTドコモに次ぐ29社中2位)をも下回った。NECへの『利用したい理由』は「過去の実績」「ブランド」の次の3番目が「機能」ということになる。

 シスコへの『利用したい理由』は,「ブランド」の比率が前々回2008年4月調査で39.1%,前回2008年7月調査でも37.7%で2回連続してトップだったが,今回は約9ポイント下落して29.1%。前述の首位NTTドコモ(n=37,35.1%)やNECを大きく下回り,7位に後退した。シスコは「機能」の比率も前回調査より7ポイント減(前回72.8%→今回65.8%)。ただし「導入後のサービス(保守、稼働継続)」が5.5ポイント・アップ(前回16.7%→今回22.2%)し,29社の平均(17.9%,前回は20.1%)を上回った。

VMwareは「機能」突出,「企業体制」への支持は最下位

 次に,利用意向率上位ベンダー(11月14日付け記事参照)への『利用したい理由』を見ていく。まず利用意向率で今回トップのヴイエムウェア(VMware日本法人,n=92)は,今回も「機能」が84.8%で29社中トップ(前回調査でも81.3%でトップ)。シスコやアドビ,11月18日付け記事で紹介したオラクルが64~66%でしのぎを削っているこの項目で,突出して高い比率をマークしている。

 しかしVMwareは,「導入後のサービス」(前回9.4%→今回7.6%)への支持が低い。さらに「企業規模や体制」(前回0.0%)は今回も1.1%で29社中最低値となっている。

 利用意向率2位のジャストシステムは,「利用したい理由」を1つ以上選んだ有効回答が27票で参考値扱いだが,「機能」が55.6%で最大の『利用したい理由』。逆に「コスト」と「企業規模や体制」への支持は3.7%の低率だった。

 利用意向率7位タイのレッドハットも参考値(n=25)だが,「コスト」への支持が32.0%と目立って高い。「過去の実績」も48.0%の回答者が『利用したい理由』に選んでいる。利用意向率10位のエーピーシー(American Power Conversion)・ジャパンも,参考値(n=22)だが「過去の実績」の54.5%という高さが目立った。

 利用意向率でマイクロソフトと並ぶ3位に入ったエムオーテックスは,有効回答がさらに少ない11票のため,今回の結果は参考値としても公表しない。

「提案」はIBM,「ブランド」はドコモが最大

 最後に,『利用したい理由』7分野それぞれ最も高い支持率をマークしたベンダーを紹介しておく。「コスト」は,11月18日付け記事で既報の通りデル(64.9%)がトップで,日本HP(38.9%),セールスフォース・ドットコム(SF.com,n=32,37.5%)が続く。ちなみにSF.comは「過去の導入/利用実績」では9.4%で29社中最低値だった。

 「提案,業務分析,情報提供」は日本IBM(32.8%,前回30.3%,前々回30.1%)がトップで,SAPジャパン(n=56)とNTTコミュニケーションズ(n=42)が28.6%で同率2位。前回33.3%でこの項目のトップだったSF.comは,今回も28.1%と高い支持を得たが,4位に後退した。

 「製品/サービスの機能」も前述の通りVMwareがトップ。2位にパナソニック(n=33,66.7%)が割り込み,以下シスコ,アドビ,オラクルのトップ5となっている。

 「導入後のサービス(保守,稼働継続)」はKDDI(n=33,33.3%)が『利用したい理由』として最も高い値だった。以下富士通(28.5%),日本IBM(24.8%)のトップ3。「企業規模や体制」は日立製作所(n=79)が31.6%で最大,以下11月18日付け記事で既報のNTT東日本/NTT西日本が25.0%,NTTドコモが24.3%,KDDIが24.2%,日本IBMが24.1%と3社ほぼ同率の上位となっている。

 「ブランドや企業イメージ」を『利用したい理由』として挙げた回答者の比率が高いのはNTTドコモの35.1%。次いでNECが34.1%。3位が僅差でマイクロソフト(30.7%),キヤノン(30.6%),日立製作所(30.4%),パナソニック(30.3%)の4社がほぼ横並びだ。「過去の導入/利用実績」の上位はマイクロソフト(59.0%),オラクル(55.3%),NTT東/西(50.0%),日本HP(49.1%),オービックビジネスコンサルタント(n=43,48.8%)となっている。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。
 選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。
 今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダーは,今日の記事で紹介した5社と,マイクロソフト,デル,日本ヒューレット・パッカード,NTT東日本/NTT西日本,日本オラクル(以上5社の結果は11月18日付け記事を参照),サン・マイクロシステムズ(日本法人,MySQL,StorageTekを含む),ヴイエムウェア,日立製作所,サイボウズ,レノボ・ジャパン,SAPジャパン(BusinessObjectsを含む),シマンテック,トレンドマイクロ,オービックビジネスコンサルタント,富士ゼロックス,NTTコミュニケーションズ,リコー,EMCジャパン(Documentum,Avamarなどを含む。VMwareは除く),NTTドコモ,キヤノン,パナソニック,KDDI,セールスフォース・ドットコム,セイコーエプソンの合計29社(前回2008年7月調査では26社)。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。
 調査実施時期は2008年10月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3124件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1247件。

図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由(回答数上位6~10位,n=100以上157以下)
図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由(回答数上位6~10位,n=100以上157以下)

回答者が担当するシステムの範囲/分野

出典:日経マーケット・アクセスINDEX:企業情報システム 2008年10月調査
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。