調査内容 IT関連キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスでは,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,最新あるいは注目のIT関連キーワードを毎月三つずつ挙げて,その認知度,業務への影響と利用の状況について聞いている。2008年7月の調査では,「プロビジョニング」「検疫ネットワーク」「オンメモリー・データベース」の3つのキーワードを取り上げた。

「プロビジョニング」は「将来かかわる」53%,「全社運用~計画中」は2割

 プロセサやメモリー,ストレージやネットワークなどのハード資源を待機させておき,稼働中のサービスに資源不足が生じそうになった時,即座に割り当てを増やせるようにする「プロビジョニング」。5年ほど前に「自律コンピューティング」という言葉が流行した時期から使われ始めたキーワードだ。仮想化環境を最適に活用するための機能として,話題に上ることが増えている。

 しかし今回の調査では,「プロビジョニング」は言葉としての認知度がまだ低いことが露呈した。認知度スコアが1.58で,本調査で今回も含め提示した69種のキーワードのスコア中64番目に沈んだ(平均は2.25)。「聞いたことがない」が68.6%と高率(69種中5番目)だったのが響いている。「仮想化ソフト」(2007年2月調査)の「聞いたことがない」は22.5%に過ぎず(認知度スコアは2.77),両者の認知度にかなり大きな差が出た。

 ただし「聞いたことがない」回答者を除外して集計している“業務への影響度”,“応用/利用状況”では,「プロビジョニング」はややランクが上昇する。ともにスコア換算では69種平均を下回ってはいるが,影響度では「将来かかわる可能性がある」が52.8%(69種平均は51.5%)と高め。応用/利用状況では「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」の合計が14.7%で,69種のキーワードの平均値18.0%は下回ったものの,69種の中央値15.2%に近い。これに「導入を計画」の4.6%を加えると,「プロビジョニングを導入済み~計画中」とした回答者の比率はほぼ2割となる。

社外持ち出しPCを守る「検疫ネット」は7割が認知,9%が「全社的に運用」

 社外に持ち出して使用しているノート・パソコンを,社内のネットワークにも接続して業務に使えるようにしたい。ただしウイルスに感染したり,情報漏えいの危険性があるソフトを導入しているパソコンを社内網に接続させるわけにはいかない。この問題への解決策が「検疫ネットワーク」である。社外から持ち込んだパソコンを,社内LANに接続する前に,まず隔離された専用のネットワークに接続させ,ウイルス感染やセキュリティー対策ソフトの導入,パッチの適用など,企業・組織のセキュリティー・ポリシーを満たしているかチェック。これに合格すれば社内LANに接続可能になる,という仕組みだ。

 本調査でこれまで提示したキーワードの中で,セキュリティー対策関連の用語は,“認知度”が高いグループと低いグループに二極分化している。69種の認知度スコア平均2.25に対し,「生体認証」(2006年12月調査)の3.51は69種中トップ,「シングル・サインオン(SSO)」(2007年11月調査)の3.18もベスト5に入る。しかし「UTM (統合脅威管理:Unified Threat Management)」(2007年7月調査)は1.82,「フォレンジック」(2007年3月調査)は1.76。この二つはともに「聞いたことがない」が58%,64%と高い(69種の平均は42.6%)。

 今回の「検疫ネットワーク」についての認知度スコアは,2.56でほぼこの両群の中間あたり。「聞いたことがない」は29.2%と低め。「業務に通用する知識がある」が7.6%(69種の平均は5.8%),「ある程度理解している」は31.4%(69種の平均は24.8%)と比較的高めだった。

 「聞いたことがない」とした回答者を除く“業務への影響度”,“応用/利用状況”は,先に挙げた四つのセキュリティー対策関連の用語のうち「生体認証」以外の三つが,69種の平均(影響度スコアは平均2.90,応用/利用状況スコアは平均1.64)を上回っている。今回の「検疫ネットワーク」についての業務への影響度スコアは3.11,応用/利用状況スコアは1.73で,ともに平均を上回った。影響度では「自分の業務とかかわる」が28.3%(69種の平均は21.7%),応用/利用状況では「全社的に運用」が8.6%(同4.4%)が高いのが特徴。応用/利用状況での「全社的に運用」「一部で運用」「一部で試験運用」の三つを加算すると19.0%で,これは69種の平均18.0%をやや上回り,「生体認証」(18.9%)や「Ajax」(18.2%,2007年2月調査)の値に近いという結果だった。

「オンメモリー・データベース」は関心高いが「全社運用~試験中」はまだ6.4%

 全データを主記憶上に展開してディスクへの入出力アクセスをなくし,検索やソート,更新の速度を劇的に向上させる「オンメモリー・データベース」。従来は検索・照会中心の特定用途に限られていたが,最近ではSQL言語やデータ更新に対応する製品が増え,サーバーの主記憶の価格低下という追い風もあって,基幹系システムへの適用事例が報じられ始めている。

 今回のキーワードとして提示した「オンメモリー・データベース」は,言葉から意味を連想しやすいためか,認知度の回答で「聞いたことがある」が30.6%(69種の平均は26.8%)とやや高め。ただし「業務に通用する知識がある」「ある程度理解している」の比率は合計19.8%(同30.6%)と低く,認知度スコアとしては平均(2.25)を下回る1.96どまりだった。

 影響度では「オンメモリー・データベース」が現時点で「自分の業務とかかわる」とした回答者は14.9%(69種の平均は21.7%)と低いが,「将来かかわる可能性がある」が61.4%で歴代4位の高い支持率を得た。過去のこの調査で「将来かかわる可能性がある」の比率が60%以上だったのは,2006年9月調査の「モバイルセントレックス」(69.4%)と「Web2.0」(66.9%),2007年7月調査の「ESB(Enterprise Service Bus)」(62.0%),2008年4月調査の「PaaS(Platform as a Service)」(61.3%),そして今回の「オンメモリー・データベース」だけである。

 「オンメモリー・データベース」の応用/利用状況はまだ低スコア。「全社的に運用」は0.6%。「一部で運用」「一部で試験運用」を加算しても6.4%で,69種のキーワードの中で下から10番目だった。

 実はこの「オンメモリー・データベース」への回答の傾向は,なぜか2007年2月調査での「SaaS」への回答の比率と酷似している。“認知度”の回答は,四つの選択肢への回答比率がいずれも0.4ポイント以内の僅差。“応用/利用状況”の五つの選択肢も「一部で試験運用」の4.8%(オンメモリー・データベース)対3.0%(SaaS)が最も大きな差。“業務への影響度”では,今回の「オンメモリー・データベース」が,2007年2月時点の「SaaS」よりやや評価が高く,「自分の業務とかかわる」で3.7ポイント,「将来かかわる可能性がある」で3.0ポイント「SaaS」を上回った。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,IT関連の最近のキーワードの認知度,自身の業務への影響をどう見ているか,回答者の所属組織での利用状況を聞いた。
 「認知度」は四択の質問で「業務に通用する十分な知識がある」を5,「内容をある程度理解している」を3.67,「名前だけは聞いたことがある」を2.33,「聞いたことがない」を1点にスコア換算した。
 同様に「業務への影響」は三択で「自分の業務と深い関わりがある」を5,「今は関わりがないが,将来関係するかもしれない」を3,「自分の業務には関係ない」を1点に換算。
 「応用/利用状況」は五択で「全社的に運用されている」を5,「一部の部門,業務で運用されている」を4,「一部の部門,業務で試験的に運用されている」を3,「導入を計画している」を2,「導入/利用計画はまだ具体化していない」を1点に換算した。なお,認知度で「聞いたことがない」とした回答者の「業務への影響」と「応用/利用状況」への回答は無効として集計から除外している。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況
図1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度・業務への影響・利用状況

図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度
図2-1●情報システム担当者の最新キーワードの認知度

図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響
図2-2●情報システム担当者の最新キーワードの業務への影響

図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況
図2-3●情報システム担当者の最新キーワードの利用状況

回答者が担当するシステムの範囲/分野

出典:日経マーケット・アクセスINDEX:企業情報システム 2008年7月調査
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。