写真●ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイス プレジデントの松原榮一氏
写真●ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイス プレジデントの松原榮一氏
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 日本において「デジタル化」はまだ黎明期。これまで企業グループのIT化を支えてきた情報子会社に、今、新たな役割が求められている――。

 2014年6月11日に開催された「ガートナー アウトソーシング&ITマネジメント サミット 2014」で、ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイス プレジデントの松原榮一氏は、講演「ITグループ会社:デジタル化の時代にどう対応すべきか」の冒頭で、こう切り出した(写真)。

 多くの企業は、グループ内に情報子会社を持ち、システム開発・運用の実務を任せている。こういったITグループ会社に対する親会社をはじめとするグループ全体の期待や要求がデジタル化の時代に入りさらに高度化し、ITグループ会社のパフォーマンスとの乖離が生まれている。松原氏は、この乖離を「静かなる危機」と表現し、「ここにきて乖離が一気に大きくなりつつある」と指摘した。

 松原氏は、まず「デジタル化」について、「スマートデバイスや自動車などのプロダクトに込み込まれたテクノロジーにより、ITとOT(オペレーショナル・テクノロジー)の融合やIoTが実現される。こういった変化を示す」とした。

 その実例として、コマツが建機の部品にICタグを取り付けて部品の交換履歴などを集中管理し、メンテナンスサービスや部品の売上拡大を実現していることを示し、「まさに建機の『デジタル化』と呼ぶにふさわしい、こうした事例がここにきて次々登場してきている」と、デジタル化が黎明期を迎えていると語った。

 このデジタル化の時代において、多くの企業は『クラウド化』『グローバル化』『グループ経営の強化』に乗り出し、「その流れがITグループ会社にもさまざまな影響を与える」(松原氏)。

 クラウド化が進行すれば、これまでITグループ会社が担ってきたシステム開発・運用がSaaSやIssS/PaaSを利用したクラウドへと移行し、「ITグループ会社への発注量が減少する」(松原氏)。

 グローバルなシステム運用が進行すれば、ITグループ会社には、グローバル最適化のためのデータセンターの集約、日本での運用のノウハウの移転、海外データセンターとの相互バックアップシステムの構築などが求められる。高度化したこれらの要求に応えられなければ、「ITグループ会社は存在意義を失いかねない」(松原氏)。

 また、グループ経営が強化されれば、例えばM&Aの事前調査段階では、機密保持の観点から親会社のIT部門の特定メンバーが参画し、ITグループ会社はシステム統合という実務から参加するといったように「役割が限定されていく」(松原氏)。

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