「ARPU底打ちがプラスに効き、オーガニックに二桁成長できる」

 田中社長は続けて2013年度の業績予想も説明した。売上高は前期比13%増となる4兆1400億円、営業利益は同22.9%増となる6300億円のいずれも二桁成長を掲げた。2013年4月からジュピターテレコム(J:COM)が連結対象となるが、J:COMの影響を除いても売上高は3.2%増、営業利益は11.2%増と高い成長を目標とする。

写真4●今期以降、利益拡大フェーズに入るとする
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 田中社長は今期以降の成長戦略について、「ARPUの底打ち反転がプラスに効いてくる。今後3年間、オーガニックに成長企業として二桁増を狙っていける」とした(写真4)。3M戦略、特に新規ユーザーの獲得など収益への貢献度が高いauスマートバリューについては「現時点で加入世帯数は212万世帯であり、まだまだ伸びしろがある。3M戦略を“深化”させ、サービスをもっと磨いていきたい」と、サービスの強化についても示唆した。

 この他、主な業績予想は以下の通りである。端末総販売台数は1090万台。そのうちスマートフォンが860万台。au純増数は230万、今期末にはau契約数の累計4000万超を目標とする。auスマートバリューは、モバイル側が690万、固定側が345万契約を目指す。

相次ぐ通信障害や誤記問題など、不安要素も残る

 成長への道筋を固める一方で、足元にはまだ不安要素もある。その一つが、ここ最近、立て続けに起こした通信障害だ(関連記事)。

 この点について田中社長は、「自身が先頭に立ち、ソフトウエア品質の改善、復旧時間最短化に向けた予期せぬ障害への対応力強化、設備の分散収容化に向けた設備投資の前倒しなどを実施し、経営の最重要課題として信頼回復に進めたい」とした。

 先週末に起こしたLTEの通信障害については(関連記事)、LTEのコア設備である「MME(Mobility Management Entity)」にソフトウエアのバグがあったという。

 MMEは基地局などをコントロールする設備であり、端末がローミングやハンドオフをする際などにMMEに問い合わせをする。「その際に発生される制御パケットがフラグメントされ、フラグメントされた2つ目のパケットの長さがある長さよりも短い場合、エラーが起こることが分かった」(田中社長)。現在、ソフトウエアに修正を加えている最中であり、修正が終わるまでは夜昼なしに障害を避ける対応をしたり、障害が起きた場合は再起動の時間を短縮を図ることで対処しているという。

 さらに同社はiPhone 5のカバーエリアの誤記という、ユーザーに不利益を被る問題も起こしている(KDDIによるお詫びの説明)。同社の2013年3月末時点でのLTE実人口カバー率目標である96%は、Android端末が対応する800MHz帯のエリアであり、iPhone 5が対応する2GHz帯のLTEのエリアでないにもかかわらず、同社のカタログなどで混同されて書かれていた問題だ。

 この点について田中社長は「しょうもない誤記をしていた。近々はっきりさせたい」とした。ただ田中社長は、「これからの端末は800MHz帯も2GHz帯の双方に対応するハイブリット端末になる。800MHz帯は全国隅々までエリアを広げるが、2GHz帯はトラフィックが集中するところでキャパシティーを確保するために使う方針。そうしないと、キャパシティー的にまずい。2GHz帯の実人口カバー率を公表しないのは、(キャパシティー用途としている2GHz帯が)接続率の比較軸になるのを少し恐れている」と弁明した。

KDDIの決算資料ページ

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