図1 「Waseda University Mobile Learning System」のコンテンツ一覧画面
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図2 「Waseda University Mobile Learning System」の小テスト画面
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図3 分かりにくい個所はポップアップ表示して解説する
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図4 早稲田大学の深澤良彰理事
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図5 早稲田大学のLMS「Course N@vi」のトップ画面
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図6 提出された文書ファイルの類似度を判定した画面
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図7 早稲田大学が提供するSNS「QuonNet」
図7 早稲田大学が提供するSNS「QuonNet」
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図8 スマホアプリ「Waseda Mobile」のトップ画面
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図9 「Waseda Mobile」で端末室の利用状況を参照した画面
図9 「Waseda Mobile」で端末室の利用状況を参照した画面
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 早稲田大学は今春、約200人の学生を対象に、スマートフォンを活用した英語学習の新たな取り組みを開始した。学生が授業の前に読んでおくべき英語の教材を、スマートフォンやタブレットを使っていつでもどこでも閲覧できるようにした。Webの最新技術「HTML 5」を採用している。他の大学にない取り組みである。

 この仕組みを実現するために同大学が開発したのは、「Waseda University Mobile Learning System」と呼ぶWebアプリケ-ションのシステムだ。スマートフォンのWebブラウザーを使ってアクセスすると、英語の教材を読んだり、小テストで理解度をチェックしたりできる(図1、図2)。分かりにくい単語にはリンクが張ってあり、クリックするとポップアップで簡単な解説が表示される(図3)。

 HTML 5を採用したのは、早稲田大学は地下鉄を使って通学する学生が多く、携帯電話サービスの電波が届かない環境で利用するシーンが想定されたためだ。通常のWebアプリケーションでは、地下鉄での移動中にコンテンツをダウンロードできないケースが多い。

 HTML 5のローカルストレージと呼ばれる仕組みを使うことで、教材のデータをあらかじめスマートフォン上にダウンロードさせる。コンテンツを表示する際は、サーバーからデータをダウンロードするのではなく、ローカルストレージ内にあるデータを表示する仕組みだ。こうすることで、場所を問わず、英語の事前学習を可能にした。

LMSを4つの視点で強化

 今や、どの大学にとってもICT(情報通信技術)を有効に活用することは、経営戦略上不可欠な取り組みといってよい。業務の効率化という観点のみならず、学生の学習環境整備や、国内外に向けた情報発信という点でも、ICTをいかに使いこなすかがカギとなる。早稲田大学が、企業でもまだ実績が少ないHTML 5を活用してでも学習環境の整備に力を入れるのはこのためだ。

 同大学は、これまでも2012年度までの中長期計画「Waseda Next125」を推進する中で、さまざまな情報化の取り組みを進めてきた。同大学のCIO(最高情報責任者)でもある深澤良彰理事は、「情報化を進めることで、教育研究スタイルを変革することを目指す」と意気込む(図4)。

 中でも力を入れてきたのが、LMS(ラーニング・マネジメント・システム)の整備だ。LMSは、学生や教職員が授業のための情報共有や履修登録などの手続きをするためのシステムで、どの大学でも構築・運用している基本的なITインフラである。教員から学生への課題配布や参考資料の紹介、学生から教員への課題提出の際にも、LMSを使うのが一般的になりつつある。

 早稲田大学は、LMSとして「Course N@vi」を構築済みだ(図5)。さらに4つのポイントで、機能を強化してきた。「モバイル対応」「コンテンツの標準化」「コンテンツ制作支援」「類似度判定システムの導入」である。

 前述したWaseda University Mobile Learning Systemは、最初の「モバイル対応」の代表例だ。時間を有効に活用して学習できるようにする。今後は動画や音声、電子書籍の形式で、スマートフォンやタブレット向けの教材を提供することなどを検討中だ。

 2つめの「コンテンツの標準化」は、Course N@viで扱うコンテンツのファイル形式や、ビットレートなどをそろえる取り組みである。Course N@viは、LMSとしての基本的な機能に加えて、授業の様子などを撮影した動画をオンデマンドで配信するeラーニング機能を搭載している。

 このeラーニング機能について、ばらばらだったファイル形式や動画の品質を、マイクロソフトの動画・音声実行環境「Silverlight」に統一することを決めた。2012年4月のことである。標準化することで、コンテンツ制作の作業負担やコストを低減するのが狙いである。既存のコンテンツについても、ファイル形式を変換する作業を実施した。

 それとともに、3つめの「コンテンツ制作支援」についても整備。Silverlight用のコンテンツ編集ツール「Silver Stream」をWebサイトから提供し、インターネット経由で利用可能にした。教職員はもちろん、学生も手軽にSilver Streamベースの動画を作成できる環境を整えた。

 最後の「類似度判定システムの導入」では、論文やレポートなどに盗用などの不正がないかを検知するシステムを、2012年4月に導入した。米アイパラダイムズの盗作検知ソフトウエア「Turnitin」を採用した。Cource N@viを使って提出された文書ファイルについて、過去の文献と同じ記述がどの程度含まれるかを調べ、割合を表示する(図6)。

 文書によっては、参考文献などからの引用が含まれることもある。「システム任せにせず、最終的には人の目で判断することになる。実際には抑止力としての効果が大きい」と深澤理事は導入の狙いを説明する。

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