写真1●「New Japan Forum」のパネリスト
左から伊藤忠テクノロジーベンチャーズ 代表取締役社長の安達俊久氏、The Tofu Projectの創設者である片山理沙氏、米セールスフォース・ドットコムCEOのマーク・ベニオフ氏、経済産業省クール・ジャパン室室長補佐の高木美香氏
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 米セールスフォース・ドットコムは2011年12月15日、日本におけるイノベーションと起業家精神をテーマにしたパネルディスカッション「New Japan Forum」を都内で開催、国内の起業家やベンチャーキャピタリストを前に、同社CEOのマーク・ベニオフ氏らが議論を展開した。議論の途中、会場に立ち寄ったトヨタ自動車の代表取締役社長 豊田章男氏が飛び入り参加するなど、話題が豊富なパネルディスカッションとなった。トヨタ自動車はセールスフォースのユーザー企業でもあり、ソーシャル利用の事例もある(関連記事1関連記事2)。

 パネリストには、ベニオフ氏のほか、日本ベンチャーキャピタル協会の会長である伊藤忠テクノロジーベンチャーズ 代表取締役社長の安達俊久氏、日本の若手起業家を支援するThe Tofu Projectの創設者である米国在住の片山理沙氏、経済産業省クール・ジャパン室室長補佐の高木美香氏が登壇(写真1)。モデレータはセールスフォースの日本投資責任者であるコーポレートディベロップメント シニアディレクターの倉林陽氏が務めた。

「若い人を育てられないのが日本の一番の問題」

 まずは登壇者の自己紹介からパネルディスカッションは始まった。安達氏は「日本は30年以上ベンチャーキャピタル(VC)業界の歴史があるものの、率直に言えばまだ10年そこそこの経験しかないと思っている。まだ助走期間を走っている」とVC業界を概観。片山氏は、The Tofu Projectとして日本の若手起業家をサンフランシスコやシリコンバレーに招いて現地起業家との交流などを図っていることを説明。高木氏は、「日本のいいものを世界に出していこうと7月にクリエイティブ産業のグループを作り、総勢60人弱で、デザイン、ファッション、食、観光、伝統工芸をどうやって海外に出していくか、国内で伸ばしていくかに取り組んでいる」と述べた。

 モデレータから日本のどのようなアセットやテクノロジーに注目しているか、との問いに対して、パネリストから多くの問題点が指摘された。安達氏は、日本は人材、技術、市場のどれも揃っておりポテンシャルは高いとしつつ、「ベンチャー企業と市場のアクセスが非常に遠い。それがグローバル級のベンチャー起業が育たない大きな理由だと思っている」と指摘。さらにその距離を埋めるのがVCの役割であるとした。これに呼応し、片山氏もベンチャー企業と市場との距離があることを認めつつ、「The Tofu Projectでやりたいのは、そのギャップがあってもなくても、日本人の起業家が素晴らしい人間として世界に立てるようにするプログラムを提供すること。日本の起業家はアイデアもあるし技術もある。それを引き出して、ストーリーとともに世界に出すことが重要」と述べた。

 一方、ベニオフ氏は日本人自身がベンチャー企業の存在を知らな過ぎると指摘。セールスフォースが出資している日本のベンチャー企業について、「(出資対象として)興味深い会社だと思って日本のスタッフに聞いたら誰も知らなかった」といった例を挙げつつ、「起業家に対して怪しいもののように見ているところがあると思う。また『自分は起業家にはなれない』という意識がどこかにあるのだろうか。これはとても危険なこと。日本では起業家を育成しようという意識が足りないことに驚いた。日本の一番大きな問題は若い人を育てられていないことだと思う」と苦言を呈した。

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