NTTドコモは2011年5月18日、ソフトバンクモバイルが3月に提示した2010年度の接続料水準において(関連記事1)、電気通信事業紛争処理委員会へあっせん申請を行ったと発表した。NTTドコモが紛争処理委員会へ自ら申請するのは今回が初めて。あっせん申請とは、委員が間に入り紛争当事者同士が合意形成を目指すという、紛争処理手段の中では比較的穏便な方法である。ソフトバンクモバイルが拒否することも可能な枠組みとなっている。

「1.46倍の接続料格差は理解しがたい」

 接続料とは、通信事業者をまたがる通信において、接続先の事業者のネットワーク使用料として支払う対価のこと。2009年度までは、各携帯電話事業者が独自の算定方法で接続料を定めてきていたが、算定が各携帯電話事業者の中で“ブラックボックス”と化していることを総務省が問題視。事業者間で算定ルールを透明化するため、営業費用を除外するといった「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」を2010年3月に打ち出した。

 以前からソフトバンクモバイルとの間で接続料の格差が広がっていることについて、NTTドコモは「(当社が)大幅な支払い超過になっている。仮に接続料の収入でもうけて、それをユーザー料金の値下げのベースに使うのであれば、それは公正競争上問題」と不満を述べてきた(関連記事2関連記事3)。しかしガイドライン適用元年に当たる2010年度、NTTドコモとソフトバンクモバイルの接続料の格差はさらに拡大。両者の格差は2009年度の1.26倍から2010年度は1.46倍へと広がっている(写真1)。

写真1●NTTドコモとソフトバンクモバイルの接続料の格差の状況。2009年度の1.26倍から2010年度は1.46倍に広がっている
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写真2●NTTドコモの古川浩司企画調整室長
写真2●NTTドコモの古川浩司企画調整室長

 申請内容について会見したNTTドコモの古川浩司企画調整室長(写真2)は、「1.46倍の格差は理解しがたい。ソフトバンクモバイルと協議を進めてきたが、もう協議では解決は図れない」とし、あっせんによる紛争処理申請に至った経緯を説明した。

 古川室長によると、NTTドコモは2007年度以降、ソフトバンクモバイルの接続料について同意するに至っておらず、2010年度は事業者間の精算も行っていないという。現状では2009年度の接続料のままであり、収支の上ではソフトバンクモバイルに対して290億円の支出超過、仮に現在ソフトバンクモバイルが提案する接続料水準を受け入れた場合も、150億円の支出超過になるという。

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