米国の検索シェア(2009年6月,米comScore調べ)
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 Yahoo!とMicrosoftが2009年7月29日,検索事業での10年にわたる提携を発表した(関連記事)。Yahoo!は検索にMicrosoftの新検索エンジンBingを採用,両社の検索広告出稿窓口をYahoo!に一本化する,検索プラットフォーム統合と言える内容だ。

 Yahoo!は,2008年に一度Microsoftの買収提案を拒否した。なぜ今,10年間という長期間にわたる提携を結んだのか。

Yahoo!とMicrosoftを合わせたシェアは28%

 Microsoftの狙いは,言うまでもなくGoogleへの対抗にある。米調査会社comScoreによれば,米国でのMicrosoftの検索シェアは8.4%。Yahoo! も19.6%しかなく,両社を合わせても28%に過ぎない。65%を占めるGoogleの存在は圧倒的だ。両社はこの提携は当局の審査を受けることになるとしているが,独占禁止法などの規制対象となる懸念は少ないと見られる。

MSとの買収交渉打ち切り後,Yahoo!は業績低迷でCEO交代

 Yahoo! にとっても経営の建て直しは課題になっていたが,2008年にMicrosoftがYahoo! に買収を仕掛けていた際には頑なに拒否していた(関連特集サイト「Google vs. Microsoft Yahoo! 買収の衝撃」)。

 それから何が変わったのか。Microsoftとの提携交渉打ち切り後,Yahoo!の業績はさらに悪化し,株価も低迷した(関連記事:Yahoo!のQ3決算は64%減益,Q4に全従業員の10%以上を削減へ)。創業者のJerry Yang氏はCEO退任に追い込まれ,2009年1月にCarol Bartz氏が新しいCEOに着任した(関連記事:Yahoo!,元Autodesk幹部のCarol Bartz氏が新CEOに)。

 トップが交代したことで,両社の交渉は再度動き始める。2009年4月,米Microsoftと米Yahoo!が検索および広告事業分野の提携について交渉を始めたと,米メディア各社が一斉に報じた(関連記事:MicrosoftとYahoo!が検索広告事業の提携で交渉---米メディア各社が報道)。

 Yahoo!のBartz氏は報道を受けて「当社がMicrosoftと何らかの提携をする必要など完全にない」(関連記事)と煙幕を張ったが,水面下で両社の交渉は密かに進んでいた。

MSの新エンジンBingがYahoo!からシェアを奪う

 提携を決める強力な材料になったと見られるのが,Microsoftが2009年6月1日に公開したの新検索エンジン「Bing」だ(関連記事:米MSの新検索サービス「Bing」が前倒しでオープン)。検索結果をカテゴリで整理し,タブで分類ごとに絞り込む機能や,Twitterのリアルタイム検索などの機能を備えている(関連記事:Microsoftが「BingTweets」を発表,BingとTwitterをまとめて検索)。

 Bingの公開直後,6月4日の米国における検索サービス利用のシェアは「Bing」が16.28%でYahoo!の10.22%を上回った(関連記事:Microsoftの新検索サービス「Bing」,6月4日にYahoo!を抜いて2位に)。2006年6月の月間シェアでも,Yahoo!のシェアは19.6%で前月の20.1%から0.5ポイント減少。Microsoftは,シェアを前月の8%から0.4ポイント増となる8.4%に伸ばした(6月の米検索エンジン市場,MSがYahoo!のシェアを切り崩す)。

 ただし,comScoreの調査結果を見る限り,Bingが奪ったのはYahoo!のユーザーであって,Googleのシェアは2009年5月も6月も65.0%。全く変化していない。MicrosoftとYahoo!の連合が米国におけるGoogleのユーザーを引き寄せるためには,さらに新しい手を打っていく必要があるだろう。