パネルディスカッション「教育機関におけるオープンソース活用」
パネルディスカッション「教育機関におけるオープンソース活用」
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 「オープンソース・ソフトウエア(OSS)を通じて,インターネットの良い面を生徒に教えることができる」(松江商業高校教諭 大屋純一氏)---。2009年5月16日,島根県松江市でオープンソースカンファレンス Shimane 2009(OSC島根2009)が開催された。オープンソースカンファレンスは,OSS関連コミュニティが集まり日本各地で開催しているイベント。今回のカンファンスでは,「教育機関におけるオープンソース活用」と題するパネルディスカッションが行われ,高校,高専,大学の現場で教壇に立つ教育担当者がOSS活用事例を報告した。

授業,研究,コンテストでOSSを活用

 松江工業高等専門学校(松江高専)情報工学科 准教授の原元司氏は,同校におけるOSS活用状況を説明した。Linuxやgccをプログラミングとネットワークの授業で利用,Rubyも非常勤講師による集中授業で教えている。全国高等専門学校プログラミングコンテスト(プロコン)や卒業研究で,OSSをツールとして活用。2005年のプロコンで最優秀賞を受賞した「♪私のバスガイドさん♪ ―サポート☆でいりぃ・ばすらいふ。―」(関連記事)はLinuxや音声認識システムJuliusなどのOSSを活用している。また社会人を対象にした教育「OSSによる中堅ネットワーク管理者要請プログラム」も実施している。

 松江商業高校の大屋純一氏は,同校が運営しているECサイトや,ビジネスプランコンテストなどの取り組みを紹介した。同校は,Perlなどを使い「松商だんだんドットコム」を構築した。この松商だんだんドットコムは,地元の産品を販売するドロップシッピング・サイト(在庫を持たずに販売するサイト)である(関連記事)。

 また,今年行われた「松江オープンソース活用ビジネスプランコンテスト」では,松江商業高校の2グループが最終審査にエントリーされ,「わんわんシッター」が最優秀賞に選ばれた(関連記事)。大屋氏は「ボランティアの共同作業によって作り出されるオープンソース・ソフトウエアは,ネットの良い面を生徒に教えることができる」と話す。

 島根大学 総合理工学部助教授の縄手雅彦氏は,自分の研究におけるOSSの活用について解説した。縄手氏は,ITを障害者と高齢者の福祉に活用する「福祉情報工学」を専門とする。養護学校やデイサービス施設などと連携して研究を行っているが,これらの施設に研究成果となるソフトウエアを配布したりする上で「金銭面の事情や,他の施設への再配布が可能であるという要件を考えると,OSS以外に選択肢がないのではないか」と縄手氏は言う。

高校で独自開発ツールを開発

オープンソースカンファレンス Shimane 2009の展示会場
オープンソースカンファレンス Shimane 2009の展示会場
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 大分県立鶴崎工業高校 教諭の佐藤賢治氏は,同校でOSSを利用した独自開発ツールを開発した事例を紹介した。同校は,経済産業省が教育現場にOSSデスクトップを導入する「Open School Platform事業」に参加しており,その中でLinuxによる組み込みシステム開発環境を整備,エディタからコンパイルとマイコンボードへのプログラム転送を簡単に行える「TSURU Develop」を作成した。Wide StudioなどのOSSを活用している。財団法人コンピュータ教育センターが配布しているLinuxデスクトップ「Open School Platform」にも収録されている。

 鶴崎工業高校は「ものづくりコンテスト」や「ロボコン」に何度も入賞しているが,ここでもOSSを利用している。「OSSは,生徒の意欲を引き出す」(佐藤氏)。

 元稚内北星学園大学教授で松江高専情報工学科教授の金山典世氏は,教育現場におけるCMS(コンテンツ管理システム)moodleの活用などについて解説した。

 パネルの司会を担当した京都ノートルダム女子大学 人間文化学部人間文化学科准教授のよしだともこ氏は「ITを利用していても,中身を知らない学生が増えてきている。ソースコードが公開されているOSSは,中身を理解するために有効」と話した。

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