プリファードインフラストラクチャーで最高技術責任者を務める太田一樹氏
プリファードインフラストラクチャーで最高技術責任者を務める太田一樹氏
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 「Amazon EC2は小規模な企業に特に向く。サーバーを早く立ち上げられ,しかも料金が安い」---。全文検索エンジンなどを開発する技術ベンチャーのプリファードインフラストラクチャーで最高技術責任者(CTO)を務める太田一樹氏は2009年4月10日,ITproカンファレンス「徹底理解 Amazonクラウドサービス」で講演。実際に同社で使ってみて分かったAmazon EC2のメリットとデメリットをまとめつつ,その活用ポイントを解説した(写真)。

 前提となるAmazon EC2は,仮想サーバー環境のホスティング・サービス。Linuxサーバーなどをオンデマンドで用意する。関連サービスにストレージ・サービス「Amazon S3」がある。

 プリファードインフラストラクチャーは,これらのサービスを自社のビジネスに実際に利用している。用途は(1)社内データのバックアップ,(2)顧客が同社製品を試験する際のシステム環境の構築,(3)実サービスの提供の3つである。冒頭で太田氏は,同社の活用事例3つを紹介した。

とにかく早くて安い

 (1)の社内データのバックアップにAmazon S3を使う理由は,とにかく安いことであるという。同社は,社内Wikiに溜まったデータや営業上の資料などをS3にコピーしている。こうした社内データは圧縮して3Gバイト程度と小規模であり,S3の利用料金は月額75円程度しかかかっていない。

 NASとの比較では,まずこの価格の安さが際立つという。オフィスにNASを設置したら,導入コストが数万円かかってしまうからだ。そもそも狭いオフィスにNASを置きたくないという背景もある。Amazon S3には,CIFS/NFSでアクセスできるNASとは異なり,WebサービスのRESTによるファイル単位での出し入れに使い方が限定されるという側面もある。だが,データ同期ツールのS3Syncは便利でバックアップ用途に適しているという。

 (2)の試験導入環境を一時的に構築する用途にも有効である。プリファードインフラストラクチャーの製品は,全文検索エンジンや関連記事推奨エンジンなどのオンプレミス型のソフトウエア。こうした製品は,商談の成立までに,顧客によるパフォーマンス評価というプロセスが必須だ。

 ここで,製品評価用の仮想環境を簡単に用意できるAmazon EC2が生きるという。「顧客が実際にアクセス可能な製品環境が,数分で構築できる」(太田氏)。評価期間も1カ月程度と短いため,2台借りても1万円くらいで済むという。

 評価環境の性能も,価格の安さと比べたら十分であるという。Small Instanceと呼ぶ,月額7200円程度の安価な仮想環境の性能を計測したところ,Webサーバーが1秒あたり1700リクエストを処理できたという。この数値は,同社の社内PC(Core2Duo)の約10分の1であり,周波数にして数百MHzに相当。この性能で,月1000万アクセス程度のWebサイトを運営できる,とした。ただし,サーバーの設置場所が米国や欧州となる関係で,レイテンシ(遅延)の大きさを覚悟する必要がある。

 (3)の信頼性がそれほど求められない場面では,現実のサービス提供の基盤としても使えるという。同社が手がけたAmazon EC2適用事例が,モバイル向けの全文検索エンジン・サイト「froute.jp」である。検索インデックスの作成やクエリー処理などのクリティカルな処理は国内のサーバーでまかない,それほど重要ではないスペル修正機能を,Amazon EC2に載せた。

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