写真●米アマゾン・ドット・コムの技術エバンジェリスト シモーネ・ブルノッツィ氏
写真●米アマゾン・ドット・コムの技術エバンジェリスト シモーネ・ブルノッツィ氏
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 米アマゾン・ドット・コムの技術エバンジェリストであるシモーネ・ブルノッツィ氏は2009年2月24日、東京都内で開催中の「クラウド・コンピューティング フォーラム」で講演した(写真)。ブルノッツィ氏は同社のクラウド・コンピューティング・サービス「EC2」などを、日本を含めたアジア地域でも早期に直接提供する意向を明らかにした。同社の社員自身がEC2などのアジア展開を言及したのは初めて。

 「摩擦ゼロのコンピューティング基盤」と題した講演での発言。ブルノッツィ氏はEC2をはじめとするAmazon Web Services(AWS)について、「アジアでの拡大も考えている。もう少しすれば具体的な地域展開を発表できるだろう」と述べた。

 アジア地域にAWS用のデータセンターを建設してサービスの応答性を高めたり、日本語のサービスメニューを用意したりするとみられる。現在もアジアからAWSを利用することはできるが、北米や欧州にあるデータセンターにアクセスするためネットワークの遅延が大きいといった問題がある。

 ブルノッツィ氏は「今日、多くの企業でITは資産ではなく摩擦を生み出すもとと考えられている」と述べ、物理的なハードを使ってシステムを構築することの問題点を挙げた。同氏の言う摩擦とは、キャパシティ予測の難しさや設備投資負担の重さ、システム構築にかかる時間などによって生じるムダのことだ。

 「現在のITが生み出す摩擦は、インフラが柔軟であれば解消できる。ここにアマゾンの経験を生かすことができる」。ブルノッツィ氏はこう述べて、AWSの内容と特徴を紹介した。仮想サーバーをホスティングするEC2、コンテンツ配信サービスの「CloudFront」、データベースサービス「SimpleDB」などだ。IPアドレスの動的割り当て「ElasticIP」、ワークフロー構築支援の「SQS」といった補助サービスも紹介した。

 具体的な利用事例として挙げたのがAnimotoというWeb上での動画作成サービス。2008年4月、Animotoは80個だったインスタンス(EC2の仮想サーバー)を、3日間で3500個まで増強した。「AWSによって、2~3年前ならあり得ない驚異的なスケーラビリティを実現できた」(ブルノッツィ氏)。eラーニングの学びingやサイバーエージェントなど、日本企業での利用も増えてきているという。

 今後の強化点についてブルノッツィ氏は、EC2の負荷分散やスケーラビリティの自動調整、稼働状況の監視サービスなどの導入を計画していると述べた。「アプリケーションの負荷に応じて柔軟に変化するITインフラを、より容易に構築できるようになるだろう」。