金融庁 企業会計審議会は2009年1月28日に開催した第15回企画調整部会で,日本での国際会計基準の適用に関する方針を示した「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」を公表した。2010年3月期に国際会計基準(IFRS)の任意適用を開始,2012年をめどにIFRSを強制適用するかを判断する,といったIFRS適用の方針を示した。部会での議論を反映させて2月初めにも中間報告案を公開。約2カ月間,パブリックコメントを募集する計画だ。

 国際会計基準は欧州を中心に100カ国以上で利用されている会計基準。日本の会計基準を国際会計基準に近づける「コンバージェンス(収れん)」プロジェクトはすでに進行中だ。米国が国際会計基準そのものを自国の会計基準として適用する「アダプション(適用)」の方針に切り替えたことを受け(関連記事:国際会計基準のロードマップ案を米国が公開、2016年に全面適用へ),日本でも企業会計審議会企画調整部会でアダプションを視野に入れた国際会計基準の適用に関して議論している。

 今回の中間報告原案では,IFRSの任意適用と強制適用について踏み込んだ方針を提示した。任意適用は,「継続的に適正な財務諸表が作成・開示されている」上場企業で,かつIFRSによる財務報告について適切な体制を整備し,有価証券報告書などで開示している「国際的な財務活動を行っている」企業や「市場において十分周知されている一定規模以上の」企業の連結財務諸表を対象とする。

 米国のロードマップ案では任意適用企業に対して,米国会計基準との並行開示を求めている。しかし日本では負担が大きいことから,並行開示を導入初年度に限定。継続的な並行開示の代わりに「IFRSと我が国会計基準の重要な差異の注記にとどめる」「導入初年度の並行開示については,監査人の監査の対象としない」という案を提示している。

 任意適用の時期については「例えば,2010年3月期の年度の財務諸表からIFRSの任意適用を認めることが考えられる」と記述。早期に適用を認めるのは,企業や市場の競争力強化の観点からとしている。その際は「基本的にはIASB(国際会計基準審議会)が作成したIFRS(日本語翻訳版)をそのまま適用すること」とする。

 企業の個別財務諸表は任意適用の対象にはしない方針。ただし,連結対象会社を持たない上場企業もあることから,日本会計基準による個別財務諸表に加えて「監査を受けたIFRSによる個別財務諸表を作成することを認める」ことも考えられるとしている。

 注目の強制適用に関しては,「同一市場において複数の会計基準が長期間にわたり併存することは,比較可能性の観点から望ましくないという意見も出されている」ことから,IFRSを日本企業に強制適用する場合の道筋を具体的に示すことが望ましいとする。

 日本で強制適用するかを判断する時期は「とりあえず2012年を目途とすることが考えられる」が,「状況次第で前後することがあり得る」とする。対象は「グローバルな投資の対象となる市場において取引されている上場企業の連結財務諸表」で,IFRSへの強制移行を決定したら,「実務対応上必要かつ十分な準備期間(少なくとも3年間)を確保した上で,上場企業の連結財務諸表を一斉にIFRSに移行する」としている。この案の通りに進めば,早ければ2015年からIFRSの強制適用が始まることになる。

 第15回企画調整部会では中間報告原案の表現についていくつか指摘があったほか,対応コストに関する懸念や,強制適用に関する表現が慎重すぎるといった意見が出た。「日本として会計基準をこうしていくという明確な意思が見えてこない。海外からは米国に追従しているだけ,と思われるのではないか。米国が方針を変えたら日本も変えるのか」といった手厳しい意見も出た。

 しかし,全体としては中間報告原案は「よくまとまっている」との評価を得たことから,一部表現の手直しを経て,予定通りに公開草案になる可能性が高い。日本での国際会計基準の本格適用は,いよいよ現実味を帯びてきた。