iPhoneなど携帯端末向けのインターネット通話サービスを展開する英トゥルーフォンは,低価格で音声通話できるアプリケーション「Truphone」を公開している。パソコン向けの音声通話アプリではSkypeが浸透しているが,TruphoneはSkypeの携帯端末版ともいえる。こうしたサービスが浸透すれば,将来は携帯電話事業者が管理してきた音声サービスの領域を侵食していく可能性もある。MacWorld 2009で米国サンフランシスコを訪問しているジェラルディーン・ウィルソンCEO(写真1)にTruphoneの将来展望を聞いた。

Truphoneはどのようなアプリか。利用する上でのメリットは。

写真1●英トゥルーフォンのジェラルディーン・ウィルソンCEO
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 低コストで通話ができることが最大のメリットだ。特に海外の友人や家族と,安価で気軽に通話を楽しみたいユーザーに向くだろう。例えば,英国の無線LANに接続できる場所から,米国の固定電話へ発信する料金は1分間に約6セント(約6円,スタンダード会員)である。

 2008年7月には,まず無線LAN経由で通話するiPhone向けアプリを公開した。2008年12月には,通常の携帯電話網を経由して,どこからでも通話ができる「Truphone Anywhere」という機能を追加した。ローカルの電話網からTruphoneのサーバーに音声を送り,その後はインターネット経由で音声データを送る。この場合,各国に設置されたTruphoneのサーバーへの通話料金がかかる。なお,発信者と受信者が無線LANのエリア内にいて,どちらもTruphoneを入れたiPhoneを持っていれば,完全に無料で通話できる。

 2009年1月中旬には,Skypeのユーザーに向けて音声発信ができる機能を追加する(写真2)。これによって,何百万ものSkypeユーザーに発信できることになる。Skypeのインスタントメッセージ機能も利用できる。

ほかの携帯端末向けにもアプリを開発しているのか。

写真2●Skypeに音声発信できる機能を追加するほか,Google TalkやMSNメッセンジャー,Yahoo!メッセンジャーにも対応を進める
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 2008年12月にはiPod Touch向けのアプリを公開した。iPod Touchはマイクを搭載していないので,別途接続する必要があるが,専用のマイクを日本の量販店でも発売したい。

 Windows Mobileやノキア端末向けも開発しているが,アプリケーションを販売するストアがあり,Wi-Fiの機能を標準搭載したiPhoneに期待している。iPhoneのようなアプリの配信サービスを展開しているAndroidに向けても,近い将来にTruphoneを公開したい。

同様の音声通話ができるiPhone向けアプリではSkypeの機能で通話する「fring」などがある。

 我々の強みは無線LAN経由だけでなく,通常の携帯電話通信網を経由して接続できることだ。今回,Skypeに向けた発信ができる機能も加え,幅広いユーザーに対して通話できるようになった。複数のサービスに対応したため,ユーザーは数多くの連絡先を管理する必要があるが,簡単に目的の連絡先が探せるようにインタフェースを工夫した。

既存の携帯電話キャリアが手がけていた音声通話サービスを奪う形となる。反発はないか。

 海外に電話をかける際には,パソコンからSkypeのようなサービスを使うか,固定電話からMVNOなどが運営する格安のプリペイドカードを購入して使うのが一般的なのではないか。iPhoneのような携帯端末から海外へ通話するユーザーは,元々少ない。そうであれば,ユーザーの利便性を優先するために,Truphoneの存在をキャリア側も認めるだろう。

 米アップルも,スティーブ・ジョブスCEOが,Wi-Fi経由であればiPhoneでVoIPの利用を容認するという見解を示していた。そこで我々はiPhone向けのTruphoneを投入した。その後,アップルは3Gネットワーク上でVoIPの音声データを流すことを禁止するという方針をとっている。Truphone Anywhereは,端末から我々のサーバーまでは通常の通信網に音声をそのまま流すため,アップルから認証を受けることができたのだ。