米Microsoftは2008年12月第1週,長引いているオープンソース・ソフトウエア(OSS)との戦いにおいて,なかなか面白い戦法を採用した。企業が長期的な視点で経費を減らしたいのなら,無料のオープンソース製品への移行などやめて,単に有償ソフトウエアを購入すればよいそうだ。その根拠は,OSSに隠されている,じわじわ発生する非互換性やサポートの問題とそのほか様々な不都合にかかわるコストであるという。これらのせいで,結果的に無償ソフトウエアの方が「Microsoft Office」などの有償ソフトウエアより高くつくらしい。

 Microsoftの公表した文章には,次のようにある。「企業は,OSSに見えないコストが隠れていて,Microsoft Officeが最も経済的なプロダクティビティ/コラボレーション・ソリューションであることを認識し始めた。OSSに手を染めて得た唯一の成果が,Linuxパソコン/オープンソース版オフィス・プロダクティビティ・スイート『OpenOffice.org』環境に移行すると邪悪なダークサイド(暗黒面)に落ちると知ったことだ」という企業の例として,英国の建築機材レンタル業者Speedy Hire社を挙げた。Microsoftの試算によると,Speedy HireがWindows/Office 2007環境に移行すれば今後5年間で148万ドル節約できる。

 Speedy Hireのインフラ/サポート担当マネージャであるJames Fleming氏は「OpenOffice.org搭載Linuxパソコンにかかる莫大なコストと不十分なサポートで首が回らなくなったことにすぐ気付いた。経理データを見直して投資効果を分析したこともあり,Microsoft製ソリューションへの移行をためらわず決定できた」と話す。

 さらに,Fleming氏は「OSSを使うと,個別に見ると些細だが,面倒な作業が大量に発生し,あっという間に重大な不都合に発展する。例えば,自動アップデート/セキュリティ・パッチ機能が欠如しており,サード・パーティの高額なアップグレード・サービスを使わざるを得ない。OpenOffice.orgを使っていない顧客と文書ファイルを交換することも難しい」と述べ,Microsoft製ソリューションへの移行理由がコストだけでないとした。「ソフトウエアは作業を楽にする目的で使うものだ。手間を増やしてはいけない。Microsoft環境に移行したら様々な懸念を一気に解消できた。つまり,移行決定は複数の観点から意味があった」(同氏)。

 このMicrosoftの主張は,いつものただのPR活動と見なされやすい。しかし,デスクトップ向けLinuxとOSSに手を出した企業は,この種の逆転現象に見舞われたところが非常に多いと思う。Linux/OSSはマニアや一部常用者に適しているが,業務の厳しい要求には応えられない。

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