写真1●NECの超高速MAC技術。情報通信研究機構(NICT)のプロジェクト「λアクセス技術の研究開発」の研究成果の一つ。下にある基板は,FPGAを使った20Gビット/秒の評価ボード。数年内に100Gビット/秒を実現したいという
写真1●NECの超高速MAC技術。情報通信研究機構(NICT)のプロジェクト「λアクセス技術の研究開発」の研究成果の一つ。下にある基板は,FPGAを使った20Gビット/秒の評価ボード。数年内に100Gビット/秒を実現したいという
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●NECが開発したスケーラブルな複数エリアの経路制御技術。
写真2●NECが開発したスケーラブルな複数エリアの経路制御技術。
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●アンリツのネットワーク・パフォーマンス・テスター(左)とデータ・クオリティ・アナライザ(右)
写真3●アンリツのネットワーク・パフォーマンス・テスター(左)とデータ・クオリティ・アナライザ(右)
[画像のクリックで拡大表示]
写真4●米インフィネラの光伝送装置「DTN」
写真4●米インフィネラの光伝送装置「DTN」
[画像のクリックで拡大表示]
写真5●米ジュニパーネットワークスのパネル展示。写真の下にあるモジュールは,サード・パーティがSDKを使って開発したアプリケーションをハードウエア処理するための専用モジュール「MultiSevices 500」
写真5●米ジュニパーネットワークスのパネル展示。写真の下にあるモジュールは,サード・パーティがSDKを使って開発したアプリケーションをハードウエア処理するための専用モジュール「MultiSevices 500」
[画像のクリックで拡大表示]
写真6●三菱電機が開発したNGN向けのパケット多重装置。今回は別の装置として実装しているが,実際の製品ではレイヤー2スイッチまたはレイヤー3スイッチに内蔵する形で実装されるという
写真6●三菱電機が開発したNGN向けのパケット多重装置。今回は別の装置として実装しているが,実際の製品ではレイヤー2スイッチまたはレイヤー3スイッチに内蔵する形で実装されるという
[画像のクリックで拡大表示]

 2008年6月5~6日にNTT武蔵野研究開発センタで開催されている「第4回 IPと光ネットワークに関する国際会議」(iPOP2008)では,様々な最新ネットワーク技術が披露されている。その展示内容をいくつか紹介しよう。

 NECは,超高速MAC技術に関する研究結果を展示した(写真1)。これは,現在標準化作業が進んでいる100Gビット・イーサネット(100GbE)で実効スループットを向上させる技術である。シミュレーション結果によると,従来の1500バイトのMTU(maximum transmission unit)では,100GbEでも実効スループットは30Gビット/秒しか出ないという。今回,MTUのサイズを1Mバイトまで拡大し,さらに再送制御を最適化することで,実効スループットを75Gビット/秒まで向上できたという。

 NECはまた,GMPLS(generalized multiprotocol label switching)の光パスの最適な経路を決定する「PCE」(path computation element)という技術を展示した(写真2)。従来のGMPLSでは,エリア内の最適経路を決めるために,「OSPF-TE」(open shortest path first-traffic engineering)を使っていた。これは,IPのルーティング・プロトコルであるOSPFをベースにしたもの。OSPF-TEは,エリア内では最適な経路を決められるが,エリア間では最適な経路を決定できず,従来は管理者が手動で設定していた。そのため,必ずしも全体で最適な経路を選択できないケースがあったり,規模が大きくなると設定の手間が多くなったりするという問題があった。今回の技術では,各エリアごとに最適経路を管理するPCEのサーバーを置き,そのサーバー間で情報を交換することでエリアにまたがる最適経路を自動的に決定できるようにした。

 アンリツは,「ネットワーク・パフォーマンス・テスター」と,「データ・クオリティ・アナライザ」を展示した(写真3)。

 ネットワーク・パフォーマンス・テスターは2008年3月に発売した製品。実際のネットワーク環境をシミュレートして,そこにつないだ装置のサービス品質を評価する。今回の製品の特徴は,ネットワーク内で発生した障害の影響をリアルタイムで再現できる点。これによって,障害がサービスにどのような影響を与えるのかを正確に評価できるという。

 もう一つのデータ・クオリティ・アナライザは2年前から提供している製品で,データの通信品質を分析する装置である。一般的な装置では1秒単位でしか品質を調べられないが,この製品では1ミリ秒単位と大幅に精度を向上しているという。以前はバースト・トラフィックが発生したときに通信品質が落ちても「相性の問題だ」といって済ませられたが,現在の映像配信ではバーストが発生したときの通信品質を正確に評価する必要がある。そこで,今回のような装置が使われるという。

 米インフィネラは,WDM装置「DTN」を展示した(写真4)。この製品の特徴は,ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)とクロスコネクトの両方の機能を内蔵しており,光の波長とTDM(time division multiplexing)の両方を使ってパスを制御できる点。一般的な製品では,ROADMとTDMは別の製品として実装されているという。また,DTNは商用の伝送装置としてはいち早くGMPLSを導入しており,通信事業者の商用サービスでGMPLSによる短期間のプロビジョニングに生かされてきたとしている。

 なお,同社は,6月16日~19日にラスベガスで開催される通信関連の展示会「NXTcomm」(以前のSUPERCOMM)で,DTNに100GbEのインタフェースを搭載してデモを披露するという。

 米ジュニパーネットワークスは,「JUNOS SDK Development Process」に関するパネルを展示した(写真5)。これは,同社のルーターOS「JUNOS」で動作するアプリケーションを開発するためのSDK(software development kit)。このSDKを使うと,JUNOSのルーティング・エンジンやパケット・フォワーディング・エンジンに独自の機能を実装できるという。またそのようなサービスをハードウエア・ベースで処理するための専用モジュール「MultiSevices 500」も展示していた。

 三菱電機は,NGN向けのフレーム多重化装置の試作品を展示した。これは,複数のOLT(optical line terminal)を束ねて上位ネットワークに渡すスイッチに組み込むモジュールである。OLTからのフレームを多重化すると同時に,帯域を絞る機能を搭載している。例えば,16台のOLTのそれぞれが10GbEでスイッチに接続され,スイッチと上位ネットワークは10GbE×2本でつないでいるような場合である。上位ネットワークをつなぐ帯域である2Gビット/秒を超えるトラフィックがOLTから流れてくるとシェーピングが必要になるが,音声や映像のようなパケットについては確実に通さなければならない。

 そうした条件を満たすため,今回の試作品には「DS-SWFQ」(delay sensitive - simplified weighted fair queuing)という独自のQoS機能を搭載した(写真6)。

 音声や映像のように遅延の影響を受けやすいパケットは,「DS」(delay sensitive)を適用し,低遅延のために最優先で転送する。他のパケットについては,「SWFQ」(simplified weighted fair queuing)を適用し,最低保証帯域を確保しつつ,それを超えたパケットについては廃棄する。

 このSWFQは,従来から一般に使われているWFQをベースに,三菱電機が独自開発したもの。WFQはアルゴリズムが複雑なため,実装するのに回路規模が大きくなっていた。そこで今回,アルゴリズムに近似を取り入れて簡略化することで,回路規模を30分の1にまで縮小できたという。同社は,100GbE対応品を2012年に製品化すると既に発表している。説明員によると,10GbEおよび40GbE(規格策定中)はもっと早めに製品化したいとしている。