米Microsoftは2008年3月最終週,ゲーム機「Xbox 360」用のオリジナル・エンタテインメント・コンテンツ提供に向け,初の契約を結んだと発表した。今後も次々と契約を締結していく予定だ。ただしこの動きは,同社が10年前,オンライン・サービス「MSN」の舵をエンタテインメント・ポータルという誤った方向に切ったときの行動を彷彿させる。

 MicrosoftはハリウッドのプロデューサーであるPeter Safran氏の率いる米Safranと契約し,Xbox 360に合わせてテレビ番組風のオリジナルなフィクション・コンテンツを制作する。MicrosoftでXbox Liveエンタテインメント・サービスのコンテンツ編成担当グローバル・マーケティング・マネージャを務めるScott Nocas氏は米New York Times紙の電話インタビューで,「Safranとの契約を皮切りに,今後も(同様の契約を)多く結んでいくことは間違いない」と答えた。Microsoftがゲーム機向けオンライン・サービス「Xbox Live」でXbox 360用に提供する番組は,ある期間Xbox 360限定コンテンツとされた後,一般公開が可能となる。広告付きコンテンツもあり,Microsoftは2008年後半に提供を始める予定だ。

 Microsoftによると,Xbox Liveの登録ユーザー数は約1000万人で,そのほとんどが無料サービスの「Xbox Live Silver」を利用しているという。Xbox Liveの会員は,オンライン・ゲームで遊ぶといった様々なゲーム関連サービスのほか,映画のレンタルやテレビ番組のレンタル/購入などエンタテインメント・コンテンツが楽しめる。ただし,Xbox 360ユーザーの多くがテレビやビデオを好むカウチ・ポテト族でなく,熱心なゲーマーであることを考えると,こうしたエンタテインメント・コンテンツに人気があるかどうか怪しい。

 Microsoftのこの戦略は,現在または将来の成果につながるのだろうか。障害はユーザー層だけでない。これまで販売した1800万台のXbox 360はほとんどがストレージ容量不足で,ダウンロード・コンテンツに対応できない点も問題である。インタラクティブ性のない新たなエンタテインメント・コンテンツを求める消費者の存在も疑問だ。Xbox 360ユーザーの大多数は,すでにテレビやオンデマンド対応ケーブル・テレビ,インターネット接続したパソコンなど,Xbox Liveと似たようなオリジナル番組を視聴できる環境を持っている。

 Safran氏は「Xboxは個性的な存在だ。われわれの考えるWebエンタテインメントを超えたレベルにある」と述べた。同氏はハリウッド出身なのだから,状況を理解しているはずだ。

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