豆蔵の萩本順三取締役
豆蔵の萩本順三取締役
[画像のクリックで拡大表示]
日本IBMの清水敏正技術理事
日本IBMの清水敏正技術理事
[画像のクリックで拡大表示]

 「SOA(サービス指向アーキテクチャ)は、ビジネス上の価値に注目し、これをいかにして最大化するかを突き詰めたシステムの設計手法。その実現のために、サービス単位でのコンポーネント化やサービスの再利用を進める。しかし現実には、どのようにビジネス上の価値を向上させるかよりも技術面にばかり注目した議論が多い。本来は逆であるべきだ」。日本Javaユーザーグループが9月13日に開催したセミナーの中で、豆蔵の萩本順三 取締役はこう話した。

 セミナーは萩本氏と日本IBMのエバンジェリスト、清水敏正氏のパネルディスカッション形式。両者は、ビジネスを起点にシステムの全体像を考えることがSOAにとって最も重要であるのに、それが一般的になっていないことに懸念を示した。

IT側の人間がビジネスにとっての価値を考える

 萩本氏によれば、SOAを採用することは「ビジネス戦略からビジネス・オペレーション、ビジネス・オペレーションの課題からシステム要求、システム要求からシステム設計を導くという一連の流れを、サービスという単位で結びつける」(萩本氏)ことである。

 SOAをシステム面だけで考えることは、インパクトが小さいうえに無駄が多いという。「例えば、システム面での効率だけを考えて、再利用可能なサービスを複数用意しても、ビジネスの状況が変わって全く使われなければ意味がない、ということだ」(萩本氏)。

 IBMの清水氏もこの意見に同意。「SOAは、IT側の人間もビジネスの価値について考えようという、いわばIT側の人間の反省を促すもの」だと説明した。同時に「ビジネスを起点にするためには、これまでとはシステムの作り方も体制も大きく変えなければいけない」と語った。

大規模プロジェクトの経験は自慢にならない

 清水氏はこれまでのシステムの作り方と体制がSOAにそぐわないと主張。例えば現状の大規模案件では、アプリケーション・チーム、データベース・チーム、画面チーム、ネットワーク・チームというように、システムの構成要素でチームを分けることがほとんどだ。

 これに対し、「システムをサービス指向にするのだから、それを作るチームもサービス単位になっていないとおかしい。例えばあるサービスを作るチームは、画面からデータベースまで全て担当するのがよい」と語った。チーム編成までサービス単位にすれば、部分的にアウトソーシングしたり、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を利用したりするのが簡単になる。

 さらに清水氏は「当社も含めて、大規模プロジェクトの経験があるSEのほうが優れていると判断しがちだが、それを変えていかなければいけない。アーキテクトは大きな視点が必要だが、SEは必ずしもそうではない」と加えた。萩本氏も「大きく構想し、小さく実装することを勧めている」と同じ考えを示した。

 萩本氏は「小さく作って早くリリースすれば、自分たちの設計がビジネス的に正しかったか、設計通りに実装できたかを早く確かめられる。この確認作業を繰り返すことでビジネスに貢献できるシステムになる」と加えた。清水氏も同意し「現実に、一発で完ぺきな設計、完ぺきな実装ができるなんてことはほとんどないでしょう」と話した。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら