米AMDは米国時間8月30日,x86系プロセサ向けマルチメディア命令セットの新版「Streaming SIMD Extensions(SSE)5」を発表した。SSE5の仕様はAMDのWebサイトからダウンロードできる。

 SSEは,x86アーキテクチャ向けの単一命令で複数データを処理するSingle Instruction Multiple Data(SIMD)拡張命令セット。米Intelが開発し,1999年に「Pentium III」で採用した。複数のデータをまとめて処理できるため,同種の演算を繰り返し行うようなグラフィックス/音声処理などのマルチメディア・ソフトウエアを高速化できる。

 AMDは新SSE仕様であるSSE5を提示した。128ビット長命令を追加するなどし,1つの命令で処理可能なオペランド(演算対象とする引数)数を従来の2個から3個へ増やした。これにより1つの命令でより多くのデータを処理可能となり,命令の効率が向上するという。

 3オペランド命令を実装することで,単一命令で乗算と加算を処理する「Fused Multiply Accumulate」などの複雑な演算命令を実現できた。「(複雑な演算を処理できる命令で)ソフトウエアのコードを簡素化すると,よりリアルなグラフィックのシェーディング(陰影づけ)や高速な画像レンダリング,空間的な広がりのある音声,複雑なベクトル行列演算など負荷の高い各種処理を高速化できる」(AMD)。

 AMDは,2009年リリース予定の次世代コア「Bulldozer」搭載プロセサでSSE5を採用する予定。

 米メディア(CNET News.com)によると,AMDはCPU/GPU統合プロセサ製品系列「Fusion」(開発コード名)と同時期にSSE5命令セットを採用する予定という(関連記事:AMDが54億ドルでATI買収を完了,CPU/GPU統合プロセサ「Fusion」を発表)。また同メディアは,Intelが2007年下半期リリース予定のプロセサ「Penryn」(開発コード名)に「SSE4」命令セットを採用すると報じている(関連記事:IntelがIDFでPenrynの性能を公表)。

 別の米メディア(InfoWorld)によると,これまでAMDはプロセサの機能拡張においてIntelの後を追うことが多かったが,先にSSE5を提示することで,開発者などにIntel製よりもAMD製のプロセサを選ばせる戦略という。

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