米Microsoftは2月21日(米国時間),米AT&Tと係争中の特許侵害訴訟において口頭弁論を開始した(関連記事:AT&Tとの音声コーデック特許侵害訴訟,Microsoftが最高裁の口頭弁論に出席)。口頭弁論そのものは,驚くにあたらない。巨大な組織であるMicrosoftは,頻繁に法廷に臨んでいる。特異な2つの事実が,この裁判を興味深いものに変えた。1つ目は,口頭弁論の開かれる場所が米連邦最高裁判所ということ。2つ目は,極めて珍しいことに,多くのソフトウエア企業がMicrosoft側に立っていることだ。Microsoftを応援する企業のなかには,米国と欧州でMicrosoftのビジネス習慣に異議を唱えてきた大手ライバルの姿もある。

 AT&Tは「Microsoftの『Windows』に複数の特許が侵害された」と主張し,実際にMicrosoftは米国内で販売された製品による侵害分の和解金を払った。ただしMicrosoftは,「問題の特許は取得した国でのみ有効になるので,その効力は米国外で販売されたソフトウエア製品に及ばない」との立場を取っている。ところがAT&Tは,米国企業による特許料回避目的の部品国外出荷と現地組み立てを禁じた1972年の特許法を引き合いに出し,「Microsoftは米国内で国際版Windowsを作り,世界各国に出荷している」と指摘した。

 これに対しMicrosoftは,「“部品”とは物理的なものであり,Windowsの“ゴールデン・マスター”版を国外に出荷しているに過ぎない」と述べた。Windowsが現地で物理的な製品になるのは,ソフトウエアがディスクの形になって店頭で販売されるか,パソコンのハード・ディスク装置にインストールされた時点というのだ。Microsoftのライバルの多くが,自分たちもソフトウエアを世界中に出荷していることから,この見解を支持している。もしもMicrosoftがAT&Tに敗れると,ライバル企業も同様の特許損害賠償に巻き込まれてしまう。

 最高裁は,製造や出荷という業務内容が1970年代から大きく変化したことを理由に,この口頭弁論を認めた。もちろん,ソフトウエアが従来のビジネス・モデルにうまく当てはまらない新しいタイプの製品という事情もある。問題は,国外へ出荷されるソフトウエアに1972年の特許法が適用可能かどうかだ。

 実は,最高裁でもこの問題を解決できないかもしれない。裁判長のJohn Roberts氏が,Microsoftの株式を保有しているためにこの裁判の担当を外れ,最高裁自体が動きの取れない状況に陥る可能性が出てきた。判決は7月に出る予定だ。

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