実験で使用する機器。左が基地局,右が端末
実験で使用する機器。左が基地局,右が端末
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 ウィルコムは2月21日,現在より高速な通信を実現する「次世代PHSシステム」の実験を公開した。実験免許は1月27日に取得済みだが,社外に公開するのは今回が初めて(関連記事)。

 公開実験では,ウィルコム本社の会議室に基地局とパソコンに接続した端末を設置。通信速度測定サイトを利用した計測や,動画ストリーミングの再生などを実施した。実験で利用した機器は,WiMAX機器などを手掛ける米アダプティクスと共同で開発(写真)。利用する周波数は2.3GHz帯の5MHz幅で,これに1チャネルを割り当てている。

 通信速度は,接続する端末が1台だけの場合は下り1.8Mビット/秒前後,2台同時に通信した場合は1台当たり1.4Mビット/秒となった。IP電話ソフト「Skype」のビデオチャットや,USENの無料インターネット放送「GyaO」の動画ストリーミングの再生なども実施。いずれもスムーズに表示できた。

 実験の公開と同時に,次世代PHSの要件も公開した。具体的には,(1)下り伝送速度は20~30Mビット/秒以上,(2)上り伝送速度は10Mビット/秒以上,(3)第3世代携帯電話やその改良版の3.5世代携帯電話(HSDPA=high speed downlink packet accessなど)を上回る周波数利用効率,を目指す。PHSの標準化機関である「PHS MOUグループ」内で標準化作業が進行中。現時点では,通信方式はOFDMA(orthogonal frequency division multiple access),現行PHSと互換性があることなどが決まっている。

 今回の実験では目標の通信速度には到達していないが,今夏にも第二次の実験を実施し,20Mビット/秒以上の通信速度を実現するとしている。

 商用化時に利用する周波数は,「当然(最も直近で割り当て可能な)2.5GHz帯を狙うが,割り当て可能ならばそれ以外の周波数も検討する」(黒澤泉開発本部長兼プロダクト開発部長)とした。商用化の時期は「投資計画が固まっていないため,現時点ではコメントできない」(同)と明言を避けた。

(白井 良=日経コミュニケーション