写真 ウィルコムのW-OAM対応新端末。左からNECインフロンティアの「AX520N」,「AX420N」,SIIの「AX420S」
写真 ウィルコムのW-OAM対応新端末。左からNECインフロンティアの「AX520N」,「AX420N」,SIIの「AX420S」
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 ウィルコムが1月27日,通信速度を最大408kビット/秒に高速化する新サービスを2月に開始すると発表した。新サービスを利用するには,2月下旬以降に発売となるPCカード型端末が必要。既存の端末からは利用できない。

 高速化は,現行のPHSを高度化した新規格「W-OAM」(WILLCOM Optimized Adaptive Modulation)で実現する。この規格では,1チャネル当たりの通信速度が最大51kビット/秒。最大8チャネルを束ねる「8xパケット方式」に対応する端末では,最大408kビット/秒で通信できる。最大4チャネルを束ねる「4xパケット方式」に対応する端末は,最大204kビット/秒となる。

 8xパケット方式に対応した端末は,NECインフロンティアが「AX520N」を2月下旬に発売。4xパケット方式の端末は,NECインフロンティアが「AX420N」を2月下旬,セイコーインスツル(SII)が「AX420S」を3月中旬に発売する(写真)。端末の価格はすべて未定である。

 サービス料金は,従来の4xパケット方式,8xパケット方式と同じ。基地局が高速化に対応している必要があるため,利用エリアは当初は大都市圏に限られる。

 W-OAMでは,変調方式に従来の「QPSK」(quadrature phase shift keying)よりも1.5倍高速な「8PSK」を利用。さらに誤り検出などパケットのオーバーヘッド部分を効率化して,従来の32kビット/秒の約1.6倍に当たる51kビット/秒に変えている。

 ただし8PSKは,受信できる電波が弱いと通信できない状態になってしまう。そのため,通信速度は遅いが電波が弱くても安定して通信できる「BPSK」(binary PSK)とQPSKをサポート。実際に通信する場合は,通信環境に応じてBPSK,QPSK,8PSKをミリ秒~秒オーダーで自動的に変更し,高いスループットを保つようにする。「今後さらに変調方式を見直して,1Mビット/秒程度まで高速化できないか検討する」(近義起執行役員CTO)。

 併せてウィルコムは,固定網内の通信プロトコルをTCPから「W-TCP」と呼ぶ独自プロトコルに変更し,データが誤った場合のスループット低下を起きにくくすることも明らかにした。この結果「十数%のスループット改善を見込める」(近CTO)という。

(白井 良=日経コミュニケーション