各社のコンテンツ配信,ホーム・ネットワーク戦略
各社のコンテンツ配信,ホーム・ネットワーク戦略
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 「2006 International CES」では基調講演が5回実施されたが,その内容はいずれも非常に似通っていた。米Microsoft,ソニー,米Intel,米Yahoo!の講演では,「HD動画の供給からホーム・ネットワークの構築までの一貫したソリューションを提供する」という内容が繰り広げられた。また,MS,Intel,Yahoo!,米Googleの講演では,コンテンツ配信に関する発表があった。

 現在,数多くのIT企業とコンシューマ・エレクトロニクス企業が,家庭のリビングにあるデジタル・テレビにコンテンツを供給する「ホーム・ネットワーク」をめぐって,陣取り合戦を繰り広げている。これまでも,MSが「Windows Media Center PC」を,ソニーが「Vaio Media Center」を担いで,この市場の独占を企てていた。そして今回のCESでは,Intelが「Viiv」を,Yahoo!が「Yahoo! Go TV」を発表して,このバトルに名乗りを上げた。Googleも「Google Video」で米CBSと提携し,ホーム・ネットワーク市場の入り口にたどり着いた。

 ホーム・ネットワークを巡る争いの構図は非常に複雑だ。各社は「Digital Living Network Alliance(DLNA)」というテーブルの上で手を握りつつ,テーブルの下では足を蹴飛ばし合っているからである。CESの時点で判明した戦いの構図をまとめてみよう。

非常に難解なIntelのViiv,「Google VideoがViiv対応」の真意は?


 最初に説明したいのは,IntelがCESで発表したViivの度を超えた難解さである。

 記者も当初勘違いしていたが,Viivは決して「テレビ・パソコンの新規格」ではない。コンテンツ配信から,それをテレビに映し出す技術までを網羅した,広い意味での「ホーム・ネットワーク規格」と考えた方がいい。つまりIntelは,ホーム・ネットワークを巡る争いに参戦したのだ。

 なぜならIntelが定めるViivの仕様自体が,「インターネットにおける動画コンテンツの検索方法」から「動画コンテンツの購入方法」「動画コンテンツをホーム・サーバーへ蓄積する方法」「サーバーのコンテンツを著作権保護したままテレビ(もしくはSTB)に配信する方法」「ユーザー・インタフェース」---までを規定しているからである。

 米Googleが出したリリースによれば,なんとViivにおける動画コンテンツの検索手段の1つが「Google Video」になるという。動画コンテンツを購入できる事業者は,Intelによって指定されている。基調講演では,米ESPN,米DIRECTV,米AOL,米ClickStar,米NBC Universalといった事業者が明らかにされた。

 ダウンロードしたコンテンツを蓄積するViivサーバーは,現時点では「Windows Media Center PC」になっている。しかし関係者によれば,Windowsはあくまでも選択肢の1つに過ぎなかったという。本来は,Intelが指定する「カスタマ・エクスペリエンス」が実現できればよく,OSはLinuxやMac OS Xでも構わない---はずだった。

 また特徴的なのは,Viivでは動画コンテンツ配信における著作権管理(DRM)技術を規定していないことだ。基本的に何でもよい。その代わり,Viivのホーム・ネットワーク内では,各種のDRMで保護された動画データを1度復号し,再度「DTCP-IP」というDRMで保護してから配信する。この「DRM保護コンテンツの復号と再暗号化」を実行するソフトウエアは,各DRMのベンダーが提供する。

 Viivサーバーから動画データを受け取り,それを画面に映し出すのは「Viivクライアント」の役割だ。Viivクライアントも仕様が決められている。基本的にはDLNAガイドラインに準拠しているが,ユーザー・インタフェースの部分がIntelによって拡張されている。ユーザー・インタフェースはViivサーバーがHTMLで生成し,Viivクライアントはブラウザで表示するだけだ。

 ホーム・ネットワークを構築せずに,Viivサーバーをデジタル・テレビに直付けしてもよい。この時のViivは,ただの「テレビ・パソコン」である。しかし,「パソコンではないViivクライアント」もCESでは公開された。Viivはあくまで,ホーム・ネットワークを構築するための仕様なのである。

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