「プッシュトーク」の特徴を説明するNTTドコモの夏野剛執行役員
「プッシュトーク」の特徴を説明するNTTドコモの夏野剛執行役員
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 NTTドコモは10月19日,同日に発表したFOMAの新モデル「902iシリーズ」に合わせて,トランシーバーのように携帯電話で一対多の通話ができるサービス「プッシュトーク」を開始すると発表した。「プッシュトーク」は,欧米の携帯電話事業者がサービス展開している「Push to Talk」そのもの。国内の事業者でPush to Talkの開始を正式に表明したのはドコモが初めて。902iシリーズを発売する年末商戦にサービスを開始する。

 NTTドコモの夏野剛執行役員 プロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部長(写真)は「プッシュトークは,電話でもメールでもない新しいコミュニケーション・サービス。グループ全員と連絡が取りたいときや,メールや電話より気軽に連絡を取りたいときに便利」と,新たな利用シーンの開拓に向けた期待を語った。

 「プッシュトーク」は,902iシリーズ全機種間で利用できる。端末にある「プッシュトーク」ボタンを押すことで,同時に最大5人(自分を含めて)に対して,1回最大30秒間の片方向の通話が可能。902iシリーズのユーザーであれば申し込み不要で利用できる。通話料金は1回の発信で5.25円。頻繁に利用する人向けに,月額1050円の定額プラン「カケ・ホーダイ」も用意した。こちらは2006年1月の開始を予定する。

 拡張版サービスとして,最大20人(自分も含めて)に対して通話が可能な「プッシュトークプラス」サービスも用意した。こちらは,ネットワーク上で共有できる電話帳機能やメンバーの状態を確認できるプレゼンス機能なども備え,主に法人をターゲットとする。通話料金は月額2100円。グループの代表回線には管理料として月額1万500円がかかる。

 夏野執行役員は「海外のPush to Talkサービスをリサーチしたが,法人をターゲットとしたサービスがほとんど。ドコモが望んでいるようなサービスを実現しているケースは無かった。ドコモのプッシュトークでは,誰でも簡単にPush to Talkサービスを利用できるように,かなりサービス・スペックを作り込んだ」と胸を張る。その例として,海外のPush to Talkは,同一メーカー製の端末間の利用に限定されるケースがほとんどなのに対し,プッシュトークでは902iシリーズ全機種で利用できるようにした点を挙げた。また海外のPush to Talkサービスではプレゼンス機能が標準で利用できるケースが多いが,「あえてシンプルなサービスにするために,標準のプッシュトークではその機能を乗せなかった」(夏野執行役員)という。

 なおプッシュトークでは,パケット通信網を使って音声データをやり取りし,その制御にはSIPを使っていることも明らかにした。実際に会場内でサービスを利用してみたところ,音声が相手に到達するまで数秒の遅延が発生した。センター側の設備については「非公表」(NTTドコモ)とした。

(堀越 功=日経コミュニケーション