顧客は、オープンソースのERP(統合基幹業務システム)パッケージを導入できるかに不安を抱いている。SE出身の営業担当者は、開発経験を生かし、技術的に問題がない点を訴えた。

=文中敬称略


 「顧客の要望を聞いたら即座に解決策を述べる。これが自分の得意技だ。具体的な要望を聞ける次の訪問が勝負になる」。ソフトメーカーのアルマスの社長で、中国の内モンゴル自治区出身の吉日木図は、2回目の顧客訪問を前に気を引き締めた。

 アルマスは、ソフトメーカーの米コンピエールが開発したオープンソースのERPパッケージ「Compiere」の日本語化と導入支援を手掛ける。従業員は15人である。Compiereの導入実績はまだ8社だ。

 顧客を開拓するため、吉日木図がCompiereの提案活動を地道に続けていた2008年4月。Compiereに関する情報提供を求める、一通の電子メールが届いた。

 建築物の害虫駆除や空気環境の測定などのサービスを手掛ける、環境コントロールセンターからだ。同社は販売管理システムを再構築する手段として、 Compiereに興味を持ったのである。従来の販売管理システムのままでは、契約管理業務の効率が上がらないことが、課題になっていたのだ。

 環境コントロールセンターの取締役で情報管理室長を務める韓国出身の張亨在は、2008年3月から、新システムの開発委託先の選定作業を進めていた。

 付き合いのある大手複合機メーカーA社や、建設会社向け販売管理パッケージベンダーのB社である。ビルメンテナンス会社向け販売管理パッケージベンダーのC社にも声を掛けた。

要件を聞いたその場で提案を図示

 張のメールを受け取った吉日木図は2008年5月6日、環境コントロールセンターを訪問。吉日木図はCompiereの製品説明と導入事例を紹介した。

 「パッケージなのでゼロから開発する必要はないが、独自開発と同じように機能を追加しやすそうだ」。張はCompiereを評価した。

 「5月中には要件をまとめ、説明します」。張はこう吉日木図に伝え、1カ月後に再度訪問するよう告げた。

 「第一関門をクリアした。次は我々の技術力をアピールしよう」。吉日木図は意気込んだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2009年7月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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出典:日経ソリューションビジネス2009年7月15日号 34ページ
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